為替の先読みが事前にできれば、投資先や売買タイミングを決める時、かなり有利なのですが、それを予測する方法として為替レート決定理論があります。
これによると、短期ではポートフォリオバランスアプローチ(アセットアプローチ)、長期では購買力平価説で決まっていきます。
順番に説明すると、フォリオバランスアプローチとは「2国間で資産供給が相対的に増加した国の通貨は減価する」という理論です。
資産供給とは、中央銀行が金融政策を通してコントロールする通貨の総量のことです。
日本は現在、量的・質的金融緩和政策を継続しているため減価、つまり円安に誘導していることになります。
続いて購買力平価説ですが、こちらは長期的な為替レート決定要因です。
購買力平価説とは「国内インフレ率の上昇、あるいは外国インフレ率の相対的な低下は、自国通貨の減価をもたらす」という理論です。
日本銀行はデフレ脱却に向けて物価安定の目標として2%の設定と早期実現を目指すことを提示しております。
これは、インフレ率を上昇させることで、為替を円安方向に誘導していると認識できます。
つまり、2つの為替レート決定理論で見ると、日銀は円安方向に振り向けるように政策を実施してきたと言えます。
量的・質的金融緩和政策を発表したのは2013年4月4日でした。
2013年3月のドル円レートは94円台でしたが、2年後の2015年3月は120円台まで円安が進みました。
もちろん、為替レートはその他の要因でも動きます。
相手国の金融政策変更でも変わっていきますし、一時的には全く予測できない要因で動きます。
実際、2016年は108円台まで円高基調になりましたので、これさえ知っておけば確実ということではありませんが、動く方向を予測する点では役に立つでしょう。