世界同時株安で始まった今年もすでに5ヶ月近くが過ぎた。株安も2月後半以降止まり、金融市場はやや落ち着きを見せている。日本にとっては2月以降円高という問題も出てきたが、最近発表された1~3月期のGDPはまずまずの数字だった。そして原油価格も回復基調にある。しかし今年の残り7ヶ月は、以下のようなリスク要因が存在している。
直近のリスク要因として、イギリスのEU離脱懸念がある。イギリスでは6月23日にEU離脱を問う国民投票が実施される予定で、最近の世論調査では離脱派と残留派が拮抗している結果が多い。つまり終わってみるまでどちらに転ぶか分からない状況だ。イギリスがEU離脱となればEUにとっては大打撃になるし、世界経済全体への影響もとてつもなく大きい。
また産油国は原油安で追いつめられている国が多い。特に酷い状況なのが南米のベネズエラで、現在は非常事態宣言が出されている。原油への依存度が高いベネズエラの経済は、原油安のために収入が減り、通貨・ボリバルは暴落。インフレは年率700%を超えている。このまま行くと、ベネズエラの国家としての破綻も現実味を帯びてくる。
同じ南米のブラジルも、原油や他の資源安で経済的な苦境にある。またブラジルはルセフ大統領が弾劾裁判にかけられ、現在最大180日の職務停止を課されている。テメル副大統領が代行になっているものの、政局の混迷は深い。夏にはオリンピックがあるが、ブラジル経済は改善の兆しがない。
そして中国経済の減速も続いている。中国は発表されるGDPこそ6%台の成長がまだ続いているが、この数字が実態からかなり遠いことは多くの専門家が指摘している。世界2位の中国経済が急速に縮小するような状況は、世界経済全体のリスク要因になる。
アメリカ経済は堅調だが、それがどこまで続くか分からない。今年は大統領選があり、次期大統領次第で大きな方向転換があるかもしれない。ともかく、株が落ち着いてきたとはいえ、世界経済がまだまだ不安定な状態にあることは間違いない。