6月末から原油価格がまた下落に転じ、最近ついにNY先物市場の原油が40ドルを割ってしまった。30ドル台は、リーマンショック直後の2009年初頭以来約6年半ぶりという安値だ。
原油輸入国の日本にとっては、基本的には原油は安い方がありがたい。ただし海外には、そうも言っていられない国や企業がある。原油安で最も悪影響を被っているのは、当然ながら産油国だ。産油国は原油100ドル時代はその恩恵を受けていたが、30ドル台に低迷すると収入が激減する。
原油が高騰を始めたのは21世紀になってからだ。2000年以前の20世紀は、原油は10~20ドルで推移している時代が多かった。1970年代のオイルショックで30ドルを超えたら、世界が驚いていたくらいだ。
それが21世紀になって高騰したのは、中国など新興国の需要増が大きい。そして結果として、ロシアのように原油が高くなったからこそ経済的に発展してこられた国もある。原油が安くなると、その要因が消えこれまでの発展の原動力がなくなることにもなりかねない。
またもう1つマイナスの影響が大きいのが、シェールオイル業界だ。ここ数年は「シェール革命」などと言われ、シェールガス・オイルビジネスがアメリカを中心に急成長してきた。だがそれらのプロジェクトの多くは、原油価格が60~80ドルであることを前提に、利益がでるように見積もられている。原油が60ドルを下回ると、採算が合わずに破綻するプロジェクトや企業が多いと言われる。
現在のような原油40ドル前後の時期が短期で終わればともかく、これから数ヶ月、数年と長引いてくると、産油国やシェール業界にボディブローのようにじわじわとダメージを与えていくだろう。