本日午後2時前に日銀が金融政策を発表し、昨年4月から続けてきた異次元緩和の増額、追加金融緩和を発表した。追加緩和では、これまで60~70兆円だった年間のマネタリーベース増額目標を80兆円に増額。またETFの購入をこれまでの年間1兆円から3倍の3兆円に増やし、J-REITの買い入れを同じく3倍の年間900億円程度にすると発表した。
発表直後から金融市場は大きく反応し、株式市場では日経平均が前日比755円高の16,413円で終了。また外国為替市場では急激に円安が進行し、発表前の109円台から数時間後には111円台にまで乗せている。
今回の会合で追加緩和を予想していたアナリストなどはあまりいなく、まさにサプライズの緩和発表だった。この緩和でまず利益を得たのは、株を買っている人達だろう。しかし必ずしも喜んでばかりはいられない。
アベノミクスは金融緩和によって円安を目指してきたが、さすがに105円を超えたころから「過度な円安は日本経済にとってマイナスになる」という声が出始めている。円安が進み過ぎると、まず輸入品が値上がりする。すでに8月以降の円安のため、カップラーメンやパスタを含め日用品の多くが値上げ、あるいは値上げの発表をされている。生活必需品の値上げは、庶民の生活を直撃する。株式投資をして利益を出しているならよいが、それをしていなければ、給料が上がらない者や年金生活者などは生活が苦しくなる。
また最近の統計からすでに分かっていることだが、円安になっても貿易収支の改善にはつながらない。日本は震災以来原発を止めているため火力発電用の燃料の輸入が急増し、貿易赤字に転落している。そして円安はむしろ燃料の輸入コストを引き上げ、貿易赤字をさらに拡大しているだけだ。
過度な円安は個人・企業の多くにとってマイナスにしかならないのだが、それでも日銀は追加緩和を行った。これが今後どこまで為替レートに影響するかは注視していくしかないが、場合によっては日銀への批判が高まっていくだろう。