先週から金融市場は大きく変動しています。
その中で東京貴金属市場は、NY市場と為替に翻弄される動きになりました。
まずは、NY金ですが、米国経済指標の悪化、株が軟調だったことに加え、年4回予定されていた米国の利上げペースが鈍化するとの思惑が台頭し、1200ドルまで急上昇しました。
一方で為替は、日銀のマイナス金利決定の影響で、ドル円は一時121円まで急速に円安になり、東京貴金属市場を押し上げましたが、一転してその反動で114円前半まで円高が急速に進んでいます。
マイナス金利の影響は長く続かず、米国の利上げペース鈍化が台頭したことが円高に拍車をかけました。
東京金は、1月の安値から1月末まで、このNY金の上昇と為替の円安も伴って上昇、2月に入ると、NY金がさらに急上昇したことでつれ高になり4400円を大きく越えてきましたが、急速な円高進行の影響で頭を抑えられて、上ヒゲの長い陰線になっています。
今後の動向
金相場の今後の見通しですが、まず投機筋の動向に注目してください。
2/2現在の最新データでは、売りが減るなかで、新規の買いが増加し、買い越しが増加しています。
2012年から米国の利上げありきで、金利を生まない金は売りの対象になってきましたが、昨年末がピークになり転換を迎えています。
さらに言えば、昨年末の米国利上げは早すぎる利上げリスクとして失敗だったと私は見ています。
利上げを実施したことで、世界の金融市場に混乱が走り、結果予定の利上げのペースを鈍化させることになりそうです。
NY金相場は投機筋のショートカバーとETFの増加が、ここ2週間の上昇の要因です。
ただし、これはNY金が1120ドル前後にあった2/2のデータで、その後1200ドルまで上昇しています。
売りがさらに減って目先は売りが一巡した可能性、また新期買いも積み上がり、昨年1月や10月までに迫っている可能性があり、目先のNY金は上値が重くなるでしょう。
東京金は、昨年6月や10月にも見られるように、2/9の高値での上ヒゲが反落の目安になるため上値警戒となるでしょう。
目先は上げトレンドの中の調整になると思われ、注意が必要です。
白金市場の展望
ここ2週間は金より強い動きを見せました。
それは金より売りポジションの整理が遅れていた分、ショートカバーが誘発しやすい状況にあったためです。
目先は、金融不安、株価下落の環境下で、白金は上昇しにくく、逆に大きな下落があると思われます。
ドル円の短期トレンドの方向性
最後に、東京貴金属への影響が大きいドル円の動向ですが、下の60分足の一目均衡表をご覧ください。
雲の上に位置していた相場は、雲下に割り込むと雲が抵抗になりダラダラと下げ続ける動きになっています。
特に115円を割ったのは悪く、110円を目指してもおかしくありません。
マイナス金利の影響は長く続かず、米の利上げ鈍化に押されています。
これから再度円安に押し上げるのは為替操作国と見られかねないため、日銀は目先これ以上打つ手がありません。
結果として、雲を上抜いて116円を回復しない限り、短期的にドル円は110円を目指すでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。