2014年後半からそれまで数年間100ドル付近で推移していた原油価格が急激に下がり始め、以来2010~14年前半のような高い水準には全く戻らない相場が続いている。2015年初頭にすでに50ドル付近になっていたが、それから現在まで1年9ヶ月、60ドル付近がレジスタンスラインとなり、そこを大きく超えたことは1度もない。
原油価格の低迷が長引いているためロシアやベネズエラを初め産油国は経済的に非常に厳しい状況に追い込まれている。そのために特に今年になって、産油国は原油価格下支えのための生産調整の努力を続けてきた。
今年2月には、ベネズエラ、ロシア、サウジアラビア、カタールの産油4ヶ国が、原油生産を1月の水準に凍結する方向で一旦合意。しかしその後具体的な協議では結果が出ず、結局最終的な合意には至らなかった。
産油国の中でも有力な国の1つであるイランは、今年になってようやく10年に及ぶ欧米諸国に対する禁輸を解除されたばかり。禁輸前の水準に回復させることを最優先しており、減産などに協力する気はない。
結局今年の原油価格は、2月に30ドルを割った後多少反騰。6月以降は40~50ドルで推移している。ただこの水準では産油国とってはまだまだ安く、できれば生産調整などをして価格の押し上げを狙いたいところだ。
しかし産油国間の足並みはなかなか揃わず、結局生産調整ができないまま、原油価格は50ドルを超えて上昇しないまま、9月まできてしまった。今年も残り3ヶ月あまりだが、今年中に原油価格が大きく上昇することは考えにくい。