2012年の政権奪取以来「アベノミクス」と称して行われてきた安倍政権の経済政策だが、ここにきて行き詰まりが見えてきている。
そう思わせる最大の理由は、2016年になってからの急激な円高・株安だ。アベノミクスはその中心となる政策に、日銀が異次元緩和を行って通貨を大量に供給。そして円安・株高を進めるというものがあった。
円安にすることで輸出競争力を高め、株高にすることで国民の資産の価値を高めて国内消費を伸ばすというのが狙いだった。ただその狙いは上手く行かず、去年夏までに円安・株高は相当進行したのに、消費は伸びずGDPも低迷している。
そしてここに来て株式市場が大暴落し、米ドル/円も110円まで円高になった。為替はもともと円安が「行き過ぎ」と言われていたので、多少は円高になっても日本経済に大きなダメージになるとは限らない。問題は株安の方だ。
株が暴落したことで、多くの個人投資家が損失を抱えた。また企業の持ち株の評価額も下がったので、企業の体力が落ちる。何よりも安倍政権になってから年金の株式運用の比率を大きく高めたので、それが膨大な損失になってくる。株価が反転しないと1~3月期の年金の運用は、恐ろしい結果になるだろう。 もともとGDPは伸びていない上に、唯一の成果だった円安・株高もなくなってしまった。またこれ以上の金融政策は難しい。1月末に打ち出したマイナス金利は大失敗だった。残された手段も少なく、このままアベノミクスは行き詰まる可能性が高い。