利上げ後もドル安の流れは継続か?
目次
●FOMC後の動き:過去3回の利上げと異なる動きに
●金:下値は限定的!?
●白金:逆行現象に注目
●パラジウム:上昇は一服
●北海ブレント:下ヒゲまで到達
先週半ばのFOMCでは、予想通り0.25%の利上げが行われました。
イエレンFRB議長の声明では、今後の利上げの方向性は予想内ながら、年内にかけてFRBの資産を縮小すると言及したことがサプライズとなりましたが、その規模が小さいため、市場への影響は限定的となりました。
FOMCの結果を受けて、商品相場の動きはあまりありませんでした。
今回のFOMCで言及した資産縮小についてですが、イエレンFRB議長の任期が来年1月までとなっており、次の議長のためにその環境を整えているのだと思われます。
今後の経済指標次第ですが、年内に3度目の利上げがるのか、その動向が注目されます。
FOMC後の動き:過去3回の利上げと異なる動きに
これまでの3回の利上げ時とは異なる動きを見せています。
過去の3回の利上げ局面では、FOMC前に利上げ期待でドル高、金利上昇、NY金下落の動きで、実際に利上げが決定されると知ったら終いで、ドル安、金利低下、NY金高の動きになっていました。
ただし、今回は、FOMC前に利上げ期待でドル高、金利上昇にはならず、逆にドル安、金利低下の動きになっていました。このため、FOMC後には、過去と同様の動きにならない可能性をお話しておりましたが、ドル安傾向が続く展開になっています。
現在、年内利上げの確率は45%ほどで、市場は疑心暗鬼になっており、ドルインデックスはドル安傾向が継続。トランプ大統領が就任した時と同じ水準まで下落してきています。
金:下値は限定的!?
金相場は去年から、米国の長期金利と逆相関の関係が鮮明です。
ドル安傾向が続き、米国の金利が低迷するようであれば、NY金相場の下値は限定的となるでしょう。
白金:逆行現象に注目
ユーロと相関が高いとお話しておりましたNY白金相場ですが、ユーロドルは1.12を挟んでもみあいの動きになっています。
東京白金相場は軟調で、一時3300円を割り込みました。
しかしながら、相対力指数やストキャスティクスなどのオシレータ系のテクニカル指標では、相場と3回目の逆行現象になってきており、今後下値割れがなければ、相場は持ち直す動きを見せる可能性があります。
パラジウム:上昇は一服
パラジウム急伸の勢いは一服しています。
リースレートはまだ高止まりしていますが、今朝の日経ヴェリタスによると、需給のひっ迫はあくまでインゴットのみで、スポンジ(粉末)のパラジウムは潤沢にあるという内容でした。
北海ブレント:下ヒゲまで到達
原油相場は、下ヒゲの水準まで下落してきています。
ここは様子見の買いを入れてもよいところです。
ただし、中東情勢の緊張の高まりがあるものの、価格が反応していないのが気がかりです。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。
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