ビットコインの大口投資家は、「クジラ」と呼ばれる。ここ数日、仮想通貨界隈では、10億ドル(1113億円)相当のビットコイン(BTC)を持っているクジラのウォレットがアクティブになり話題になっている。このウォレットは4年ほど動きがなかった。
Chainalysisの調査によると、クジラのウォレットは全部で1600ウォレットあり、1つあたりに1000BTC以上入っている。中には1万BTC入っているウォレットが100個ほどある。
仮想通貨界隈では、これらの一部の大口投資家たちによって、ビットコイン相場が動いてしまうのではないかと危惧されている。
果たして10億ドルのウォレットがアクティブになったことにより投資家は気をつけるべきだろうか?ビットコインのボラティリティーリスクは一気にあがるのだろうか?
「戻ってきたシルクロード」とは!?
Redditの投稿では、この10億ドル相当のウォレットのことを「戻ってきたシルクロード」と呼んでいる。「シルクロード」とは違法ドラックや武器を売っていた、今は亡き闇サイトの名前を指している。
2013年にFBIはWebサイトのシルクロードを閉鎖させ、創設者であるRoss Ulbrichtを逮捕した。同氏は無期懲役の有罪判決がくだっている。当時、FBIはシルクロードから2万6000BTCを押収した。当時のレートで360万ドルである。
Ulbricht氏はシルクロードを運営していた罪に問われたが、このサイトに関わっていたのは彼だけではないというレポートがある。では、誰が10億ドルのシルクロードウォレットをアクティベートしたのだろうか?もしくは、その事件に関わった米国の機関が徐々にビットコインを現金化しているのだろうか?
最近では、イギリス警察が295BTCを売却したというニュースがある。このビットコインはドラックディーラーから押収したものだ。そして裁判所は、容疑者のハードウォレットに入っていた仮想通貨の所有権の破棄を命じた。
もちろんこれらは憶測に過ぎないし、このウォレットに対していまだ手がかりは何もない。そして、このウォレットによってビットコイン相場に影響があるのかどうかも不明だ。
シルクロードウォレットの前回の使用されたのは、4年5ヶ月前の2014年3月9日である。当時、そのウォレットはサブウォレットへの送金がおこなわれていた。まず6万BTCずつ分けられ、3万 / 2万 / 1万 / 5000 / 500/100と細分化されていった。
最新のシルクロードウォレットの動きは、最低でも88BTCをバイナンスのウォレットに送金している。
そして昨日、シルクロードウォレットからビットフィネックス(Bitfinex)やビットレックス(Bitmex)に送金されていたことが分かった。Cryptovestは「大量のビットコインが取引所に流れていることが確認され、売られるのではないか」としている。しかし、この記事を書いている現段階では、この動きが相場に害をもたらすものであるかどうかは分からない。
価格崩壊と流動性の問題
ブロックチェーンプラットフォームのCINDXのYuriy Avdeev CEOは、このような大口のビットコインの売却は価格崩壊の危険性があると警告している。
「仮想通貨市場で最大の問題は、低い流動性と、それによって相場操縦が出来てしまうことである。 USDT [テザー] の大量の発行は、ビットコインの価格の上昇を招いた。同様にこのような大口ウォレットも価格に影響を与える可能性がある」
同氏は大口の問題の例として、今回のシルクロードウォレットが動き始めたことを挙げている。これは、すぐさま相場にパニックを招き、短期的な価格崩壊が起こる可能性がある。「このような特徴がある市場では投資家にとって危険が存在する。経験不足な市場参加者は、短期的に含み損を抱え決済してしまうだろう」
Avdeevは、プラットフォームや政府はこのような事態からユーザーを守ることをはとても大事であると強調した。
現在の規制されてないこの仮想通貨市場では、第三者の視点からしか見守ることができない。しかし、規制当局では大口の投資家について認識しており、それらに関連する問題を見逃す訳にはいかないとしている。
今週はじめから、シルクロードウォレットについて注目しているツイッターユーザーは次のようにつぶやいた。
「bitfinexのクジラが話題になっているが、誰もどうシルクロードウォレットが10億ドルを投げ売りするか話していない」
このビットコインの売りは、短期的であったとしても相場に大きな影響を与えるだろう。