10日にECBが理事会を終え、政策金利を発表。3つの政策金利のうち、リファイナンス金利を0.05%から0%に、限界貸出金利を0.3%から0.25%に、中銀預金金利を-0.3%から-0.4%に引き下げた。また資産購入額を、これまでの月額600億ユーロから800億ユーロに拡大した。
これらは追加緩和策としてまずまずの内容だったものの、その後のドラギ総裁の会見で「追加利下げは想定していない」と述べられていた。つまりこれ以上の利下げは難しいのだ。
実際中銀預金金利の-0.4%は、相当のマイナス幅だ。日銀が行ったマイナス金利政策も、ECBの中銀預金金利に相当する金利が-0.1%に設定された。しかしECBのマイナス幅はその4倍にもなっており、その副作用はかなり大きいと思われる。リファイナンス金利は、ついに0%にされた。
一方量的緩和の月額800億ユーロという金額もかなり大きい。日本円にすると10兆円程度で、年間120兆円になる。日銀の異次元緩和が年間80兆円なので、その1.5倍にもなる。これ以上の増額は難しいし、したとしても効果があるか疑問だ。
ECBはかなり手詰まり感が強まっている。それを示すかのように、10日のECB発表後はユーロ安・株高が進行したが、ドラギ総裁の会見以後はユーロ高・株安になった。ユーロ/円は発表前124円台だったが、発表後に123円台になり、ドラギ総裁の会見後に126円台まで上昇した。
日銀もそうだが、ECBの金融緩和はできることを全てやってしまっており、さらなる追加緩和をするのは厳しい状況になっている。