・16日寄付き前に4-6月期決算報告・予想売上高は202億9000万ドル、予想EPSは2.44ドル
米ヘルスケア製品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が製造したタルク由来パウダー製品ががんなどの健康被害を引き起こしたとされる問題を巡り、集団訴訟が長期化している。
報道によると訴訟件数は1万4000件にのぼり、同社の業績やブランドに悪影響を及ぼしている。先週の報道では同社が発がんリスクを故意に隠ぺいしていた疑いで刑事捜査が進んでいることが明らかになり、12日の株価は4%以上下落した。
J&Jは規制当局の調査、民事訴訟、そして刑事捜査に同時に直面していることになる。
ワシントンの大陪審は、同社幹部らの発がん性物質に関する認識を明らかにするため関連文書を調査している。ブルームバーグが関係者筋による情報を匿名で報じた。
度重なる訴訟により、同株価は前年末以降下押し圧力を受けている。12日の終値は134.29ドルで、今年の上昇幅は5.5パーセント。今年20%以上上昇しているS&P 500をアンダーパフォームしている形だ。
4-6月期決算の予想EPSは2.44ドル、予想売上高は209億ドル。ベビーパウダーが売上高に占める割合は僅かなものではあるが、100年以上にわたり販売されてきた同製品はブランドコアだ。訴訟での和解金が膨れ上がる可能性がある中、長年培ってきたブランド力は財務上大きな助けになるだろう。
同社は訴訟費用を確保したと述べているが、金額については明らかにしていない。
ブルームバーグによると、民事訴訟の和解金は150億ドルに達する見通し。ただし同社は、製品に発がん性物質は含まれておらず賠償責任はないと主張している。
J&J財務上の強み
訴訟問題は続いているものの、J&Jはその強力な製品ポートフォリオで投資家へのリターンを維持している。1-3月期決算では消費者向け製品と医療機器が落ち込んだものの、好調な医薬品部門がカバーした。
J&Jの医薬品部門は今や3事業のうちで最も大きく、1-3月期売上高は4.1%増の14億ドルとなった。主力製品は乾癬およびクローン病薬のステラーラで、売上高は32%増の14億ドル。
また、うつ治療において経口剤と併用できる点鼻型の新薬・スプラバートも注目を集めている。
同社医薬品ユニットヘッドのJennifer Taubert氏は、新薬の投入は「非常に期待値の高いスタート」であると投資家らにアピールしている。
総括
J&J株には今後も下押し圧力が掛かる見通しで、売上回復にはまだ時間がかかるだろう。
ただし同社の収益性は高く、一連の訴訟にも耐えうるだけのリソースは有していると言える。
それでは、訴訟関連リスクを無視しコア・アーニングスを評価できるようになるタイミングはいつだろうか?
それは同社の決算と業績見通しの改善度合いによると言える。まずは今回発表される4-6月期決算がヒントになるだろう。