ペイパル(NASDAQ:PYPL)はネット通販サイトの決済や個人間送金などさまざまなデジタル決済を提供する、世界的な大企業です。2020年4-6月のペイパルの決算が少し前に発表されましたが、かなり良かったです。
新型コロナウイルスが流行後の世界では、今まで実店舗だけで行われていたビジネスでもインターネットショッピングを開始し、実店舗での決済はQRコード決済などのタッチレスな決済方法が増えてきていることもあり、ペイパルが提供するデジタル決済の利用シーンが増えています。
市場の投資家はいち早く魅力に気づいたのか、4月以降のペイパルの株価は急上昇しています。
まさにトレンドに乗った銘柄になったようです。
この記事のポイント
- ペイパルの決算は、一株利益も収益も予想を超えた。
- 新型コロナウイルス流行後に企業は実店舗からデジタルへのビジネス展開が進み、ペイパルが提供している決済機能が利用されるシーンが増えていることが好調の要因。
- 好調は四半期後半でも続くとペイパルは自信をのぞかせている。2020年の業績ガイダンスは予想よりも良い数字が提示された。
この記事ではペイパルの投資に前向きになるような良いニュースを多めに書いていますが、1点だけ投資を踏みとどまる良くない知らせがあるとすれば、既に割高に見えることです。
2020年4-6月結果
ペイパルの20年4-6月期の決算は、一株利益も収益も事前のアナリスト予想を上回る好決算になりました。
4-6月結果
- 一株利益:1.29ドルで、予想を0.80ドル上回る。
- 調整後一株利益:1.07ドルで、予想を0.20ドル上回る。
- 収益:52.6億ドルで、予想を2.6億ドル上回る(前年比+22.0%)
単位:10億ドル | 2Q20 | 前年比 |
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収益 | $5.26B | +22% |
営業利益 | $1.49B | +49% |
(調整後)一株利益 | $1.07 | +49% |
ペイパルは好調が年後半にも続くと見ているようで、2020年の業績ガイダンスでもアナリスト予想を上回っています。
2020年通期ガイダンス
- 一株利益:3.88ドルで(予想は3.39ドル)
- 収益:207.9億ドルで(予想は203.7億ドル)
収益と利益の伸びをグラフで見てみると、利益のグラフが急速に力強く成長している点が印象的です。
2020年第1四半期(20Q1)までは、たしかに利益は新型コロナウイルスの悪影響で業績は低迷していたのですが、4月から急速に実店舗のネットビジネス進出が進んでデジタル決済に追い風が吹き、今期の利益は前年比+86%と大きく飛躍しました。
ペイパル業績好調の背景
今期のペイパルの成長加速の背景はCEOのコメントをはじめ、決算で度々説明されていたので、要点をまとめておきます。
一言でいうと、新型コロナウイルスの流行をきっかけに企業によるビジネスのデジタル化が加速し、ペイパルが提供する決済機能が今までになく需要が高まっているようです。
- 新型コロナウイルスが流行するなか、世界は実店舗からデジタルへの変化が加速している。
- この変化の加速は小売も含めて、あらゆる業界や産業で起こっている。
- ビジネスはデジタル最優先になり、ペイパルが提供するデジタル決済の需要が高まっている。
- これらの背景を受けて、第2四半期のペイパルは5年前に株式公開してから最も力強いものになった。
上にあげた変化は2020年4月から見られていましたが、第2四半期を通じて勢いは衰えなかったようです。
買うタイミングを逸したペイパル株は既に高値圏に
しかし、とても残念なことに2020年8月現在のペイパルは、既にかなり株価は買われて高値圏にあるようです。
割高な度合いを図るForward PER(株価を今後12ヶ月の予想利益で割った値)は53.76と、ペイパルの過去5年平均の約31よりも70%も高くなっています。今から手を出すには、あまりにもハードルが高くなっています。
良い企業であることは知っていたし、ちゃんとマークもしていたはずなのですが、私はこの企業の株を買うタイミングを逃してしまったようです。
個人的にはペイパルの好調な波には乗れず、反省材料が残るペイパルの決算になりました。