全都市消費者物価指数(CPI-U)が0.6%上昇したことにより、1月の米国の消費者物価指数は、7.5%となり、インフレ率は過去40年間で最も高い数値となった。
詳細な分析によると、「1月の食品指数は0.9%上昇した 」とのことである。さらに、家庭での食品指数では、食料品店グループの中で価格が変わらなかったのは、ノンアルコール飲料の分野のみだった。それ以外の商品の価格は上昇した。
現在、経済学者や消費者は、労働省が発表するインフレ率に注目している。多くの人が、この数字が2022年初頭にピークを迎え、その後は低下するのではないかと議論している。しかし、株式市場の変動性や投資家のネガティブ・センチメントにみられるように、誰もが今が頂点であると確信しているわけではないだろう。
一方、アナリストたちは、国連(UN)の食糧農業機関(FAO)が発表するFAO食料価格指数(FAO Food Price Index (FFPI) )にも注目している。FFPIは、「食料品バスケットの国際価格の月次変化」を測定するものである。1月の指数は前月比1.1%の上昇となった。
FFPIの算出には、FAO植物油価格指数、FAO穀物価格指数、FAO乳製品価格指数、FAO食肉価格指数、FAO砂糖価格指数の5つの商品グループの平均値が考慮される。
別の言い方をすれば、米国でも世界でも食品価格が高騰しているということになる。そこで、この記事では、このようなインフレ環境下でリターンを求める投資家に魅力的な2つの農業関連上場投資信託(ETF)を紹介しよう。読者の皆さんには、先日、ほかの関係したETFについても取り上げたことを思い出してほしい。
1. First Trust Indxx Global Agriculture ETF
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現在の価格:32.05ドル
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52週間のレンジ:28.61ドル~32.75ドル
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配当利回り: 1.50%
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経費率:年率0.70%
ミシガン州立大学のGeorge Silva氏による最近の研究では、「2050年の食糧需要の増加のためには、世界の農業生産量を現在の水準から約60〜70%上昇させる必要がある 」と指摘している。
そのため、株式市場ではFirst Trust Indxx Global Agriculture ETF (NASDAQ:FTAG)に注目している。このETFは、農業分野の企業に投資する。組み入れられる企業は、化学物質や肥料の製造業者、種子生産業者、農機具や機械の販売業者などである。当ETFは、農業の収量を向上させている企業に焦点を当てている。2010年3月に上場した。
51の保有銘柄を持つ当ETFは、Indxx Global Agriculture Indexに連動するように設計されている。上位10銘柄は全体の純資産930万ドルの58%近くを占めている。したがって、小規模なETFであることがわかる。
サブ・セクターでは、素材(53.61%)、産業(29.45%)、ヘルスケア(8.61%)、消費財(5.98%)となっており、米国の企業が29%近くを占めている。次いで、ドイツ(22.70%)、日本(7.90%)、インド(7.19%)、カナダ(6.78%)、カタール(4.83%)などの企業が名を連ねている。
代表的な保有銘柄としては、化学工業大手のBASF (OTC:BASFY)、機器メーカーのDeere (NYSE:DE)、作物の農薬などやサービスを提供するNutrien (NYSE:NTR)、ドイツの製薬・生命科学の重鎮Bayer (OTC:BAYRY)、石油化学、肥料、エネルギー、鉄鋼を中心としたIndustries Qatar (QA:IQCD)などがある。
このETFは、過去12ヶ月間で10.5%、年間累計(YTD)で5.2%の上昇を記録している。株価収益率(PER)は15.17倍、株価純資産倍率(PBR)は2.07倍となっている。株式ベースで農業セクターへのエクスポージャーを求める投資家に適しているかもしれない。
2. Teucrium Agricultural Fund
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現在の価格:28.67ドル
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52週間のレンジ:21.36ドル~29.06ドル
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経費率:年率0.18%
次にご紹介するTeucrium Agricultural Fund (NYSE:TAGS)は、トウモロコシ、小麦、大豆、砂糖の先物価格の変動にエクスポージャーを得ることができるETFである。このETFは2012年3月に取引を開始し、純資産は約1250万ドルである。
TAGSは現在、他の4つのETFに同額ずつ投資している。組み入れているETFは以下の通り。
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Teucrium Corn Fund (NYSE:CORN) - 年初来9.1%上昇;
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Teucrium Soybean (NYSE:SOYB) - 年初来16.0%上昇;
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Teucrium Sugar (NYSE:CANE) - 年初来3.0%下落;
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Teucrium Wheat (NYSE:WEAT) - 年初来4.3%上昇.
当ETFは過去52週で27.5%、YTDで6.4%のリターンを記録した。言い換えれば、2021年はこのETFにとって飛躍の年であり、2022年も好調なスタートを切っている。穀物に興味のある読者は、このファンドをさらに研究してみてはどうだろうか。