昨日、ドル円が底堅く推移した背景には堅調な欧米株式動向に加え、黒田日銀への思惑もあろう。現在マーケットでは、法定準備預金額を超える準備預金(超過準備額)に対して日銀が支払う利息、つまり付利の引き下げ観測が高まっている。この観測を高めている要因は国内債券市場の動向だ。新発10年物国債の利回りはついに0.2%台の水準を割り込み、5年物国債に至っては初のマイナス金利となった。このような状況の中、貸出支援制度の延長&拡充に合わせ、付利を現行の0.1%から0.05%に引き下げることで市場に潤沢な流動性を供給するよう仕向けるのではないか、とマーケットは勘ぐっている。ただ、サプライズ好きの黒田日銀ならば、付利をいきなり撤廃してくる可能性をも意識しておきたい。日米欧の株式市場でリスク回避ムードが後退しているタイミングで黒田日銀が緩和強化の継続スタンスを示せば、円売り圧力が強まることを想定したい。
一方、海外時間は、英中銀金融政策委員会(MPC)議事録と米住宅関連指標に注目したい。前者に関してはポンド売り要因として警戒しておきたい。後者に関しては住宅市場の改善が見込まれている。市場予想以上ならば米株とドル相場をサポートしてよう。逆に原油安が続く中、冴えない内容となれば、米ファンダメンタルズ改善期待が後退することでNY時間はリスク回避傾向が強まろう。この場合は、米株安と円高に警戒したい。
< テクニカル分析-ドル円、119円トライ>
レジスタンス
119.59:76.40%戻し
118.87:61.80%戻し
サポート
118.34:一目/基準線(緑ライン)
117.86:一目/転換線(赤ライン)
119円台への再上昇が焦点。テクニカル面では1月高安のリトレースメント61.80%&76.40%戻しの攻防に注視したい。
一方、下値は日足の一目/基準(緑ライン)&転換線(赤ライン)の維持が焦点となろう。
尚、直近のオーダー状況だが、リトレースメント前後の119.00&119.50レベルにはオファーが観測されている。
ビッドは118.00、117.50そして117.00レベルにそれぞれ観測されている。