- 通商問題の中であるが、米国株式指数は決算や好景気を受けて上昇
- しかしながら、株式指数は記録続伸せず低迷する可能性
- ダウ平均は高値更新、4月の安値以来上昇トレンド
- 原油(WTI)は11月以来の上昇トレンド
好調な決算により、インデックスの記録的続伸が予想されている。先週ダウ平均と Russell 2000 は共に0.43% 増、 S&P 500 は0.33%増、ナスダック総合指数は0.13%増であり軒並み上昇したが、堅調な決算シーズンに対し、これらの主要株式指数が最高値を続伸できないことは、今後の市場が危ないのではないかと懸念されている。
通商問題が再び投資家の議論の中心になり、現在の強気相場が続くかどうか試されている。トルコ危機による世界経済への影響は、米中の貿易摩擦に対し協議再開することや上向きな決算などの好材料を相殺させた。株式はこれらのファンダメンタルにより上下に相場が揺さぶられている。
大事なのは経済
マーケットは第二次世界大戦以来最長の上昇相場であるが、通商問題でよい結末を迎えない限り、現在の景気循環後半で株式は上昇トレンドが止まるかもしれない。
S&P 500 Indexは、1.09反落したが、週次0.59%上昇した。上昇は再開し、6週間続伸となった。テクニカル的には、この8月7日の高値である2863.43の高値更新を失敗している。また、ヘッド&ショルダーによる戻しの可能性がある。ヘッド&ショルダーのネックラインを下抜けするのなら、7月下旬の安値の水準になることになる。
ダウ平均は、木曜日に429ポイント上げ、週次1.41%上昇した。これは4月10日以来、最上昇率であった。貿易交渉の再開や、 ウォールマート (NYSE:WMT)、キャタピラ (NYSE:CAT)、ボーイング (NYSE:BA)、シスコシステムズ (ナスダック:CSCO)など株価の好調により上昇した。テクニカル的には、ダウ平均は、直近8月7日につけた高値を更新し、2月26日から現在の期間で最高値である。
4月の安値以来、最高値続伸を再開している。ダウに上場している会社は通商問題に対し敏感であるあるが、この上昇トレンド確定は今週に良い影響をあたえるだろう。しかし、向こう数ヶ月の長期的にはいまだに懸念がある。
米国の他のインデックスでは、週次で0.13%増であったもののナスダック総合指数は不調であった。中国のテクノロジー会社大手Tencent(OTC:TCEHY)の水曜日の決算の利益が予想より低かったことにより同社は6.7%下落し、その後ナスダック総合指数は0.29%下落した。テクニカル的には、7月9日から7月27日にかけての3週間でイブニングスター(evening star)と呼ばれるチャートパターンを形成して以来、低迷気味である。
Russell 2000は先週0.36%伸ばし、3週間で1.78%の上昇をみせた。テクニカル的には、週次安値はハンギングマン(hanging man)と呼ばれるチャートパターンを形成し、今週安値で終値を迎えた場合、弱気相場になることを示唆している。Russell 2000は金曜日、1696.81で終値を迎えた。6月18日の週次高値から、1700の壁は厚い様子だ。
2018年、企業成長のピークになるだろうか?
通商問題やトルコ危機はいまだ懸念の中心であるが、トレーダーはこれらは一時的な影響であることを願っている。一部の人々は、これらはただの外交術であって、良い結末に終われば、リスクなど蒸発するとさえ考えている。
トルコ危機は1997年のアジア通貨危機や2011年の欧州債務危機を連想させる。トルコのGDPは比較的小さいが(2016年のトルコGDPは8,577億ドル、ドイツでは3兆6670億ドル、米国では18兆5700億ドル)、関連する懸念はファンダメンタルの材料になるだろう。
重要なのは米国経済の10%の売上高成長し、2011年の第3四半期以来、米国経済は最も好調である。コストカットは利益を悪化させたが、売上高の成長は、消費者やビジネスの需要を示し、堅調な経済成長の基盤を反映している。
米国のGDPの拡大は、前四半期の4%からゆるやかに減少している。企業利益が来年に再び上がることを期待しているが、利益成長の低迷は株式市場も穏やかになることが予想される。
一週間の見通し
以下の時間はすべて東部夏時間(EDT)で表記されています。
月曜日
2:00: ドイツ– PPI (7月): 月次成長率予想は0.4% (前月0.3%)
水曜日
8:00: アメリカ – 中古住宅販売高 (7月):前月の-0.60から0.8%の上昇予想
10:30: アメリカ – EIA 原油在庫量 (8月17日締め): 予想 2.719M
テクニカル的には、WTI クルード原油は11月中旬からの上昇トレンドラインまで下落したが、それがサポートラインとなり支えられている(上図:黒)。これは7月初旬につけた75ドルの高値以来14%下落したが、上昇トレンドラインが続くことが示唆されている。
14:00 アメリカ – FOMC 議事録: 金利据え置きは、これらの議事録が新しい情報が多く出てこないことを意味するが、しかし、上昇しているドルの下落を避けるため、議事録はタカ派な印象を与える必要があるだろう。
20:30: 日本– 製造業 PMI (8月, フラッシュ): 52.3から52.4に増加する予想
木曜日
3:00 – 4:00: フランス, ドイツ, ユーロ圏 – 製造業・サービス業 PMI (8月, フラッシュ): 独製造業PMIは56.9から56.6に下落し、ユーロ圏製造業PMIは55.1にとどまると見られている。
ユーロはハンマーと呼ばれるチャートパターンを形成し、すでに11月のサポートラインや5月の安値である1.1600の水準を下回っている。少し反発しているが、これはただの下降トレンド中の調整だと考えられる。
7:30: 欧州– ECB 議事録:ECBが金融引き締めのイメージを強調するなら、減退するユーロに対した措置が見込まれる。
8:30: アメリカ – 新規失業保険申請件数 (8月18日締め): 212Kから215Kに増加予想
9:45: アメリカ – 製造業 サービス業 PMI (8月, フラッシュ): 製造業 PMIは55.3から 55.1に減少し、サービス業PMIは56から55.9に減少する予想
10:00: アメリカ – 新築住宅販売戸数 (7月):月次成長率は-5.3%から2.5%に増加予測
10:00: 欧州– 消費者信頼感指数 (8月, フラッシュ): -0.6から-0.7になるとの予測
19:30: 日本– CPI (July): 月次成長率は0.1%から-0.2%となり、年次成長率は0.7%から0.4%になると予測
金曜日