高配当利回りな銘柄は、ときにして「諸刃の剣」である。財務的問題に陥ってたり、需要の低迷、債務の増加している企業は、投資家に逃げられやすい。このようなリスクは株価の下落を招き、配当利回りが上昇する。
2つの象徴的なアメリカンブランド - フォードモーター(NYSE:F)とAT&T Inc.(NYSE:T)はこのような状況に直面している。過去数年間で、これらの株価は下落傾向にある一方で、配当利回りは上昇している。両銘柄の配当利回りは7%近くあり、米国債利回りが下落している現在では魅力的な水準である。
高配当となっていることは、配当利回り利回りを享受するのに良い機会なのだろうか?それとも投資を避けたほうが良いサインなのだろうか?各企業で直面している問題を考察する必要があるだろう。
フォード:厳しい綱渡り状態
フォードモーターは売上が数年来上昇していたが、同社製品への需要は中国や欧州を中心に低下している。
2018年12月期のフォードは金利税引前利益は約27%減少したことを公表した。米国経済の全体的に景気後退している要因の他に、フォードは自動車産業で起こっている構造的変化によって圧力を受けている。消費者の動向は、テスラ(Tesla) (NASDAQ:TSLA)や Google (NASDAQ:GOOG)のWaymoなど、電気自動車や自動運転へ興味が移ってきている。
フォードはこれらの動向に対処するために、昨年大幅な人員削減、売上が悪いモデルの排除、欧州全体で工場の閉鎖の検討など、今後5年間で110億ドルの経営改善計画を立てている。
しかし、同社はアプローチするべき課題への対処の遅さを投資家へ説得することに失敗している。昨年では、この不安視によりフォード株は20%以上の下落を招いた。11日の終値は8.61ドルであり、昨年同期では10.81ドルである。同時に、同社の株価は7.13ドルまで上昇している。1株あたり四半期配当は、0.15ドルであり、自動車企業の中で最も高い。
AT&T: 成長の代償、多額の借り入れ
通信企業は、一般的に安定した財務から長期保有に向く安全銘柄だとされる。
AT&Tは、米国最大の通信事業企業であり、同社は35年連続で増配をしている。このような素晴らしい増配の歴史ではあるが、投資家はAT&Tがタイム・ワーナー(Time Warner)を6月に850億で買収した後で、AT&Tの将来性について懐疑的になっている。
AT&Tは、ネットフリックス(Netflix)(NASDAQ:NFLXのような、現代的なメディアカンパニーに移行しようとしている。
タイム・ワーナーの買収は、ケーブルテレビからオンライン化を加速させる目的であった。2018年第4四半期では、AT&T’s DirecTVの衛生放送サービスにおいて40万の登録者が解約し、124万ドルの損失を生んでいる。
市場はAT&Tの事業戦略について好ましく思ってはいないようだ。理由として、同社は多くの借り入れをしているためである。タイム・ワーナーの買収のあとで、AT&Tの借金は2018年末の時点で1710億ドルとなっている。2017年では1260億ドルであった。
株価は11日の終値は30.22ドルであり、前年の37.36ドルと比べると約20%下落である。年間の配当利回りは6.81%に上昇し、1株あたり0.51ドルの四半期配当となっている。
どちらの株が安全か?
どちらの企業もすぐに回復するとは考えづらい。自動車産業も通信産業も大きな過渡期であり、売上や、キャッシュフロー、株価への圧力となっている。
しかし、ただ単に回復が遅いという理由は、投資しないという理由にならないだろう。AT&Tやフォードの投資家は、長期的なアプローチでこれらの株を買い、配当で儲けることもできる。この視点では長年の増配の業績があり、75.69の配当性向であるAT&Tはより良い選択となるだろう。
一方、フォードはAT&Tほど配当に関して信頼できない。フォードは2006年9月支払い分を最後に一度配当を凍結し、2012年に配当金を復活させた。
AT&Tの経営改善計画は、長期的で骨の折れる道のりであると想定される。しかし、AT&Tは6.81%の配当の上で、フォードに投資するより良い選択だ。