コカ・コーラ (NYSE:KO)の2020年3Q(7-9月期)決算が発表されましたが、まずまずの良い結果でした。
前回の4-6月期ではレストランやスタジアムが封鎖して、コカ・コーラの売上が大きく落ち込みましたが、今期はマイナス幅を大きく縮めることができたようです。
売上も利益も事前の予想を上回る内容で、決算発表後には少しばかりですが株価も上昇しました。投資家も今回の決算は歓迎しているようです。
この記事のポイント
- コカコーラの2020年7-9月決算は、収益・利益ともに事前予想を上回る好決算だった。
- 前期は大幅に売上が落ち込んだが、今期はその落ち込みからの回復が見られる。
- ただし、このまま一直線に業績が回復することは無いかも知れない。コロナの再流行してロックダウン(都市封鎖)が世界中で起こり始めると、再度コカ・コーラの業績に悪影響が出ることは十分考えられる。
- しかし、今後ロックダウンが起こっても2020年4-6月ほどの広範囲の厳しいものにはならないと考えられる。つまり、景気や業績の最悪期は既に過ぎたので、感染再拡大が来ても、コロナからの業績回復を狙うコカ・コーラのような株は売らなくて良さそう。
4-6月の低迷から大きく改善が見られた7-9月期
7-9月期のコカ・コーラの業績を確認していきます。
利益も収益も前年の業績を下回ってしまいましたが、大きく低迷していた前期よりもだいぶ持ち直すなど回復してる様子が見られています。
- 調整後一株利益:$0.55で、予想を$0.09超える。(前年比マイナス2%)
- 収益:$8.7Bで、予想を$0.33B上回る。(前年比マイナス8.4%)
- オーガニックセールス:マイナス6%で、予想を上回った。(予想はマイナス8.5%)
単位B:10億ドル | 3Q20 | 前年比 |
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収益 | $8.65B | -9% |
営業収益 | $2.30B | -8% |
調整後一株利益 | $0.55 | -2% |
四半期ごとの売上推移のグラフからは、前期の大きな低迷から脱却しつつある様子が見えてきます。
コカ・コーラの好調と不調を調べるには、オーガニックセールス(買収や為替の影響を除いた売上)で見ることが多いですが、そのオーガニックセールスでも復調が確認できます。
コカ・コーラの新型コロナウイルスに対する考え方
今回の決算で業績の回復が見られたコカ・コーラですが、今後も一直線で回復をし続けるかというと、それはまだわかりません。
4-6月期は新型コロナウイルスのロックダウン(都市封鎖)の影響でコカ・コーラの売上は落ち込みましたが、今後コロナの再流行でロックダウンをする都市が世界でてくると、コカ・コーラの業績回復のペースも後退してしまいます。
ただコカ・コーラの見立てでは、今後コロナの再流行が起こったとしても、2020年4-6月ほど広い地域で同時に厳しいロックダウンが起こることはなく、売上規模減少も2020年4-6月ほどにはならないと言います。
決算発表資料では丁寧に新型コロナウイルスの流行と回復の傾向を説明していたので、その内容も振り返っておきます。
新型コロナに関するコカ・コーラの視点
- 新型コロナウイルスからの回復は一直線にはならない。
- コロナで世の中は(1)流行期、(2)経済活動の再開期と再流行の時期、(3)新しい日常の3つの時期をたどると予想(下図)
- 世界の大部分の国は、未だに(1)の流行期やその後半に位置している。一部の国は(2)再流行の時期に入っている。
- (2)の再流行時にロックダウンする街が出ても、規制の規模は(1)ほど厳しくはならない。
この中で、特に重要なのは最後の太字で書いた「今後の新型コロナ再流行時のロックダウンの規制は、今までのものほど厳しくはならない」という点です。
アメリカではロックダウンがもっとも厳しかったのは2020年3-4月でしたが、今後は感染の第2波がきても当時よりも厳しいロックダウンにはならないと見ているようです。
上の図の中でラクダのこぶのような形をしているグラフはロックダウンの厳しさを表していますが、2つ目の山は1つ目の山よりも低くなっていて、この図にも第2波のロックダウンは第1波よりも軽いものになるとのコカ・コーラの予想が反映されています。
ちなみにこの考え方自体は新しいアイディアではありません。2020年4-6月期のコカ・コーラの決算でも、CEOが同じような発言をしていました。
この新型コロナウイルスの流行と回復の考え方は、コロナで業績が低迷した航空会社やホテルなど他の企業にも当てはまると思われます。
コロナで業績が低迷した業界は、今後は売上が回復していくことが予想されますが、決して右肩上がりに一直線に回復軌道を描くのではなく、再流行が起こった場合には一時的な停滞を経験しながら、再度回復軌道に描くのかも知れません。