日銀がデフレ脱却を目標として2013年に始めた異次元緩和だが、開始から3年が経過して目標のインフレ率2%が達成できないばかりか、日本経済はまたデフレに戻っている。
最近ロイターが企業を対象に行った調査によると、回答した企業の8割が「日本は来年までにデフレに逆戻りする懸念がある」と考えていた。そして27日朝に発表された4月CPIは、生鮮食料品を除いた数字で前年同月比-0.3%だった。
デフレ復活感は、街の物価にも表れている。かつて「低価格」を売りにして成長してきた企業、牛丼店やユニクロは、ここ1~2年で低価格路線から離れていた。これは日本経済が成長路線になったための価格引き上げではなく、円安による輸入コスト増のための値上げだった。
しかしもともと安さを売りにしてきたこれらの企業は、値上げによって客が離れる。ユニクロが4月に発表した2016年2月中間決算では、税引き後利益が前年同期比55%減だった。
牛丼店もユニクロも値上げによって客足が離れたことが明確だったため、そして最近の円高によって輸入コストが低くなってきたため、今年になってまた低価格路線に戻っている。
牛丼店やユニクロは日本の「デフレの象徴」であり、デフレ脱却のためには値上げされている状態が好ましいと最初は考えられていた。だが実際には、そのような状態でも庶民の暮らしは良くなっておらず、牛丼店やユニクロの業績も落ち込んだ。世界的な株安もあたとはいえ、ユニクロ株は去年夏をピークに下落に転じた。
見せかけだけの「デフレ脱却」にいいことがないとわかった今、日銀以外でデフレ脱却を望む者は少なくなった。そして日本は、またデフレに戻りつつある。