ギリシャで25日に行われた総選挙で、EUなどから押し付けられた緊縮財政に反対する急進左派連合(SYRIZA)が第1党となり、他の緊縮反対派の小政党と連立を組んで与党になった。そして党首のツィプラス氏が首相に就任し、新政権がスタートした。
しかしこれからのギリシャとユーロ圏には、非常に厳しい状況が待ち受けている。急進左派連合は「反緊縮」を謳っているが、緊縮財政は支援の条件としてEUなどから要求されているものだ。それを蹴ってしまっては、支援そのものが受けられなくなる可能性がある。
なぜギリシャ国民は、2004年に結党した比較的若い政党であるこの政党をここまで支持するようになったのだろうか?それは、緊縮財政によって市民の生活が悲惨な状態になっているからだ。
緊縮財政は年金や医療といった、生活に直接関わる分野で大幅な歳出削減を要求される。そのため緊縮財政が始まって以来、公立病院は多くが閉鎖され、また医療の質も大幅に低下した。以前なら治療を受けられて直った病気、あるいは健康になった人たちが、治療を受けられずに苦しむことや、最悪亡くなってしまうこともある。ギリシャ国民にとっては、文字通り「命を縮める」緊縮財政なのだ。そして緊縮に疲れ果てているのが現実だろう。
しかしドイツやフランスなど支援する側としても、そんな簡単に緊縮の取りやめや債務削減をすることはありえない。これまで何年も支援してきたので、いまさら支援の条件を緩くする気になれるわけがない。
今後はギリシャとEUの間で難しい交渉が続くことになるが、ある日突然交渉が決裂して、ユーロ圏にとって非常に悪い発表が出てくる可能性もある。今月15日に発表されたフランの対ユーロ上限撤廃も、まさに「寝耳に水」だった。ギリシャ問題はユーロ圏にとっての爆弾になりかねない。