世界の金融市場を揺るがした2008年のリーマンショックから、今年で丸7年が経過した。世間ではだんだんとリーマンショックのことも忘れ去られてきている。経済に疎い人の中には、リーマンショックのこと自体すでに知らない、あるいは忘れている人もいるだろう。
しかし、リーマンショックを「過去のこと」と言えるほど、世界経済はその傷から立ち直っているのだろうか?
日米欧の先進国を初め多くの国では、すでに株価がリーマンショック前の高値を超えている。日本の日経225平均はリーマン前の高値は2007年夏の18,300円付近だったが、今年になってから20,000円の大台に乗せた。アメリカのダウ工業平均も、ドイツのDAX指数もリーマン前の高値を超えている。
では実体経済の各指標はどうか?最近の日本は消費税増税の影響もあり成長率はまたほぼゼロが続いている。一方でアメリカは2~3%程度の堅調な成長が持続している。これらの数字は、日米がリーマンショック前に出していた数字とあまり変わりがない。
一方欧州に目を向けると、ユーロ圏は失業率がリーマンショック以来10%以上の高値圏で推移している。もともと日本とは集計法の違いもあってユーロ圏の失業率は高く、リーマンショック直前の一番低い時期でも7%台だった。それが2013年には12%台にまで跳ね上がり、今年までに少し下がったとは言え10%台にある。
そしてリーマン前と後で大きく変わったのが、日本だけではなくアメリカやユーロ圏までゼロ金利が長期間続いていることだ。アメリカはリーマンショック直後からゼロ金利政策を採用し、7年経った今やっとそれを解除するという話になっている。ユーロ圏はゼロ金利にしたのは比較的最近だが、おそらくそれは最低数年は続くだろう。 つまり現在多少は回復しているGDPや失業率も、超低金利あってこその数字だ。それを考えると、世界がリーマンショック前の状態に戻ったと言うのは難しい状況にある。