8月12日までに全国の地銀の決算が出そろったが、上位20行・グループの業務純益は前年同期比14%減の2292億円だった。
日銀は1月末の金融政策決定会合で、史上初のマイナス金利政策の実施を決定。2月からは実際に適用された。したがって4~6月期が、マイナス金利政策が導入されて以来初めての、四半期全体に影響が及ぶ決算となる。
そして上位行の決算は14%減。このような減益決算が出たのは、マイナス金利の悪影響が銀行に及んでいることが大きな理由の1つと見られている。マイナス金利政策が適用されると、住宅ローン金利や企業への融資金利など全ての金利が下がる。そのために銀行にとっては住宅ローンや融資における利益率が下がる。
また銀行は国債に投資をして利益を得ているが、マイナス金利政策によって国債の利回りも低下。短期国債などはすでに利回りがマイナスになっており、それがまた銀行の収益を圧迫している。
マイナス金利政策の副作用としてこのような状況になっているのだが、日銀はそれでもマイナス金利政策を止めないだろう。一度始めてしまった以上、解除すると株式市場などに悪影響が出る。副作用があっても続けるしかないところまで追い込まれているのだ。
ただし今後のマイナス金利幅の拡大はかなり難しいと言わざるを得ない。そしてマイナス金利政策によって地銀の利益が圧迫され続けると、今後倒産するところも1~2行出てくるかもしれない。その時初めて日銀はマイナス金利政策の見直しを考えなくてはいけないことになる。