次回・9月21日の金融政策決定会合後に、日銀が異次元緩和の「総括的な検証」を発表する。9月上旬現在は、これまでの異次元緩和などの効果を検証してまとめている最中だという。
異次元緩和が開始されたのが2013年4月なので、開始から3年半にしてついにこれまでの効果を「検証」して、その内容をまとめることになったわけだ。異次元緩和は当初、「2年以内に物価上昇率2%を達成する」という目標で始められた。しかしその目標は達成できず、達成時期目標は当初の2015年から、16年、17年とどんどん先送りしてきた。
現実的に考えて、総括的な検証でこれまでの異次元緩和を振り返るなら、「あまりうまく行かなかった」と述べるのが自然だ。ただし政府や日銀はそのような自然な見方をしないことがよくある。
例えば景気にしても、GDPがマイナス成長でも政府は「景気は緩やかに回復している」といつも述べてきた。政府が「景気が悪い」というとさらに悪くなってしまうかもしれないので、言葉だけでも「回複している」と言っておかなければいけないという考え方もある。だがそれでは実態を表していない。
日銀の総括的な検証も、同じように「一定の成果を得た」など無難な言葉でまとめられて終わることも考えられる。それでは何のための総括的検証なのかわからないが、それがお役所仕事と言ってしまえばそれまでだ。
ともかく21日には次回の日銀金融政策発表がある。追加緩和の有無や総括的検証の発表など、今度の発表は株式市場や為替市場を大きく動かしそうな発表になるだろう。