2013年4月から「異次元緩和」と称してこれまでにないほどの規模の金融緩和を続けてきた日銀だが、それでもインフレ目標2%は達成できていない。すでに緩和開始から3年近くが経っており、当初の目標だった「2年以内」はとうに過ぎている。
そして今月になって世界同時株安という要因が加わったため、日銀はついに動き、29日にマイナス金利の導入を発表した。この政策は市中銀行が日銀に預ける当座預金に対し、-0.1%の金利(手数料)を課すというものだった。
日本では史上初のこの政策に対し、株式・為替市場は乱高下で反応した。だが株式・為替市場だけではなく、債券市場も大きく反応した。
日銀の当座預金にマイナス金利がかかることで、銀行などにとって日銀に預けることで利益が出せないばかりか、損失になるようになった。そこで安定した運用先としての、国債の需要が急増したのだ。
もともとアベノミクスが始まってから、日本の国債利回りは最低水準にまで落ち込んでいた。異次元緩和開始直後の2013年4月に、10年債利回り(長期金利)は過去最低の0.3%近くまで低下。その後1%まで急騰したがまたジリジリと下がり、去年1月には0.2%の最低値まで下がる。
ところが今回のマイナス金利導入によって、長期金利はさらに下がり0.1%すらも割り込んで、0.09%まで急落した。これは日本がかつて経験したことのない超超低金利だ。しかし日銀の緩和が続く以上、超低金利時代は当分続くだろう。