今年中にあると噂されているアメリカの利上げが、いよいよ近づいていた。今年のFOMC会合は残り3回、9月、10月、12月にあるので、早ければ9月の会合で利上げが行われることもありえる。
アメリカの政策金利はリーマンショック後の2009年から6年以上ゼロ水準に置かれてきたが、それがついに解除されようとしている。現在利上げに向かっている最大の理由は、米経済の回復だ。特に失業率が5%近くまで下がり、金利を上げるに十分な水準まで回復した。
6月後半~7月前半に懸念材料だったギリシャ問題も、7月半ばにギリシャが妥協するという形で一旦落ち着いた。これで世界の金融市場の不安材料が1つ取り除かれ、利上げの下地は整っている。
問題は株式市場への影響だ。アメリカは去年秋にQE3を終了したが、その後は株式市場はパッとしない動きが続いている。主要3指数の中でもダウ工業平均が特に弱く、8月6日の終値は17,419ドルで去年終値の水準より下がっている。また昨年と一昨年は連日のようにあった史上最高値更新が、5月半ば以来3ヶ月近くない。
ただダウの場合は構成銘柄が30種しかなく、そしてそれらの銘柄は最近の4~6月期決算発表をきっかけに下がっているものが多い。もっと構成銘柄が多い、S&P500指数などはそれほど下がっていないので、アメリカの株式市場全体が弱いわけではない。
しかしいざ利上げとなると、株式市場が下げの方向で反応する可能性は十分にある。アメリカが金利をゼロ水準にしたのは戦後初めてのことなので、その解除も歴史的なこととなる。その結果がどうなるか、間もなく見ることができるだろう。