中村審議委員記者会見要旨
―― 2011年11月9日(水)
午後2時30分から約30分
於:那覇市
(問) まず初めに、金融経済懇談会の内容についてお願いします。また、沖縄の経済情勢について、現状と今後の見通しなどについてのご見解をお聞かせ下さい。
(答) 本日の金融経済懇談会では、当地の行政や財界、金融界を代表される方々から、地域経済の現状と課題、日本銀行の金融政策運営に関する貴重なお話やご意見を数多く頂き、極めて有意義な意見交換ができました。本日ご出席頂いた皆様方に、感謝申し上げたいと思います。懇談会での意見交換を通じ、中国をはじめとするアジア諸国や米国等と沖縄県との幅広く、長い歴史の繋がりを強く感じました。本日の懇談会のポイントは、以下の通りです。
最近の沖縄県の景気につきましては、人口が増加するなか、個人消費や観光関連を中心に緩やかに回復している状況にありますが、中小企業においては、「厳しい状況が続いている」とのご発言や、観光関連では、「客足の戻りはまずまずだが、単価の持ち直しが捗々しくない」とのご意見が聞かれました。また、欧州債務危機については、本土の消費者マインド等に対するマイナスの影響を通じて、県内観光産業への影響を懸念する声も聞かれました。
加えて、沖縄県産品の普及について、日本国内のみならず、中国をはじめとするアジア諸国等の海外需要を積極的に取り込むことを狙った最近の事例などが紹介されました。
このほか、現行の沖縄振興法の期限が来年3月に到来することを眺め、現在議論されている、沖縄県の地域事情を踏まえた諸施策についても、お話を伺うことができました。
以上総合すると、厳しい面はあるが、全体としては、前向きのトーンのご発言が多かったように思われます。私どもとしては、中央銀行の立場から、物
価安定のもとでの経済の持続的成長を実現していくことや、金融システムの安定性を確保することを通じて、関係者の皆様の努力が大きな実りへと繋がっていくようにサポートしていきたいと考えています。
次に、沖縄県経済の現状については、震災の下押し圧力から脱して、個人消費や観光関連を中心に緩やかに回復していると思います。すなわち、本土の電力不足問題等を契機として、観光では、個人を中心とした旅行需要が回復しているほか、IT関連では、コールセンター、データセンター等の進出がみられています。また、個人消費は、全国トップの人口増加率を背景に、底堅く推移しています。
当地の経済構造をみると、輸出型製造業の集積が少ないこと等から、これまで全国の景気動向の影響を遅れて受けてきたと思われます。もっとも、足許の観光やIT関連を中心に、本土のオフショアリング需要を島嶼県である当地が上手く吸収する動きがみられており、県内景気は全国並みのペースで回復していると思います。
沖縄県経済の今後を展望した場合、経済活性化に繋がるポイントとしては、東アジア沿岸地域の中心に位置するという「地理的特性」や「自然エネルギーの活用」、「財・サービスの高付加価値化」などが挙げられます。こうした取組み等を通じて、沖縄県経済が更なる発展を遂げることを期待したいと思います。
なお、沖縄県内の金融動向は、預金・貸出ともに前年を上回る水準で推移しており、この間、当地の金融機関は、相応の経営体力を維持し、現状、大きな問題はないと聞いています。
(問) 現在、沖縄県と国は、今後の10年間の新しい沖縄振興計画の議論を進めています。その柱のひとつとして、金融特区制度の拡充や国際物流拠点の整備が盛り込まれており、それぞれの制度を活用したビジネスのアイデアも、どんどん出てきています。中村委員は、以前、商船三井フェリーの代表を務められていたとのことですので、沖縄が抱える物流面の課題等についてお考えがあるかと思います。この金融特区と国際物流についてのご意見をお聞かせ下さい。
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