(問) 2点お伺いします。1つ目は、本日、地元の経済界の方と懇談をされましたが、改めて長崎県の経済についての所感をお尋ねします。2つ目は、懇談の冒頭挨拶で言及された上海航路についてですが、インバウンド(訪日)観光の拡大に物流が加わってくれば、日本経済が活性化するというような期待感を示していらっしゃいますが、この点についてもう少し詳しくお聞かせ下さい。 (答) 長崎県経済については、色々な立場で活性化に向けて積極的な取り組みがなされているとの印象でした。懇談会の中でも長崎県の経済について触れられていましたので、まずは長崎県の経済についてお話したいと思います。 長崎県の経済は昨年来、持ち直しの動きが続いていましたが、東日本大震災の発生に伴い部品調達が困難となり、精密機械の一部が操業を停止したほか、自粛ムードや原発事故の影響等から消費手控え、また、観光客の予約キャンセルの動きが広範にみられたとの話もありました。ただ、当地主力の造船や一般機械が全体として高操業を続けているほか、電子部品等でも東日本大震災に伴う代替生産の実施の動きがみられており、自動車産業のウエイトが当地は低いといったこともあって、生産面への影響は比較的軽微なものに止まっている状況だと思います。また、外国人観光客は引き続き大幅に減少しているとのお話がありました。ただ、修学旅行の増加等もあり、国内観光客は回復してきているほか、消費手控えの動きも次第に和らいできているということが全般的な話としてありました。
こうした中で、本日の懇談会では、造船関係では、「円高の影響等から採算を確保しづらい」とか、観光業界からは、「大震災の影響から外国人観光客が激減している」といった実感のこもったお話があり、収益環境の厳しさを指摘する声が随所で聞かれました。また、中小企業の業況の先行き不透明感が増していく中で、資金繰りがやや窮屈化しているといったお話もありました。加えて、離島の人口減少・高齢化、経済の低迷といった現状を踏まえ、離島振興の必要性に関する指摘が行政・産業界を問わず聞かれました。 ただ、そうした中でも、「当地の造船所では、大型客船の受注に向けた商談が進行している」とか、新アジア軸の構築に向けた長崎県の優位性──これはいわば、歴史的、地理的優位性ということですが──、これをより強固にすべく、「“上海航路復活プロジェクト”といった観光の活性化策を着実に推し進めていく」という、中長期的にみて地元経済の活性化に大きく結び付くような官民を挙げた取組みが進められているとの前向きな話が多方面から聞かれました。冒頭申し上げたとおり、歴史資源や観光資源等に恵まれた当地ですが、こうしたことを活かしながら、地域の活性化に役立てていきたいとの力強い話が聞かれました。 そうした中で、ご質問にありました上海航路についてです。先程も少し触れましたが、古い昔の上海航路という懐かしい思い出を再現して、“アジア国際戦略”のもと「アジア全体の活力を長崎県経済全体に取り込んで、さらに大きく周辺にも拡げていきたい」という“夢”を官民挙げて実現していこうとの話が聞かれました。特にこれを推進しておられる民間の方では、上海航路は、船便であり航空便に比べても低価格で、移動時間がある程度あるため、その道中で色々なイベントをするなど、大勢の方に喜んでもらえるような新たな航路として、長崎県の活性化に結び付けていく“夢”の第一歩を是非実現し、これを定期航路化して発展させていきたいとのお話がありました。
この続きはこちらをご覧ください。http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1106c.pdf
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