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日本調剤 Research Memo(10):2017年3月期は質を吟味しながら21店舗をM&Aで取得。

発行済 2017-06-14 16:28
更新済 2017-06-14 16:34
日本調剤 Research Memo(10):2017年3月期は質を吟味しながら21店舗をM&Aで取得。
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■中長期の成長戦略

3. 調剤薬局事業の成長戦略:M&Aへの取り組み状況
前述のように、日本調剤 (T:3341)はM&Aに消極的なのではなく、優先順位を忠実に守りながら実行しているに過ぎない、というのが弊社の理解だ。
同社の1店舗当たり年間売上高は約345百万円で、上場する大手調剤薬局チェーンの中では業界トップの水準にある。
高効率の店舗経営を特長とする同社の基準に適う案件があれば、M&Aに積極的に取り組むスタンスだ。


2017年3月期にM&Aで獲得した店舗の1店舗当たり売上高は4.3億円と、同社の平均の3.4億円を上回っている。
4.3億円という数値は特異的に大きな売り上げを誇る水野薬局の店舗で誇張された面があるとみられるが、同社が質を重視したM&Aにこだわっている点をよく示していると言える。


2017年3月期においては総数21店舗をM&Aで獲得した。
これは近年にない高い数値だが、こうした数値は今後決して珍しいことはなくなると弊社では考えている。
その理由は上述の次世代薬局の推進とも、密接に関連している。
現状は全国に約58,000店の調剤薬局があるとされるが、その半数以上は「1人薬剤師薬局」とみられる。
かかりつけ薬局などの次世代薬局として求められる機能を果たすには薬剤師が1人では物理的に不可能なことは明白だ。
既に政府部内でもこうした事実を踏まえて「一定程度の集約化が必要か」といった議論がなされている。
このことの持つ意味は大きく、大手調剤薬局によるM&Aを後押しする発言と受けとめることができる。


そうした業界再編・M&Aが進行すれば、結果として大手調剤企業のシェアがアップすると考えられる。
それは店舗数の増大の効果は言うまでもないが、1店舗当たり売上高の拡大(薬局の高機能化・大型化)もシェアアップの要因となると考えられる。
現時点では厳密な将来予測は困難だが、店舗数の倍増(1,000店舗体制)は充分想定し得るし、1店舗当たり売上高も全社平均で1.5倍程度は十分可能だとみている。
短期的には薬価の毎年改定などネガティブな要素もあって耐え忍ぶ時期を迎えるとみられるが、その先には業界再編による成長・拡大期が到来すると弊社ではみている。
これまで次世代薬局対応を着々と進めてきた同社は、今般、M&Aの本格化の入り口に立ったところであり、これからM&Aが加速していくものと弊社では考えている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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