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ホットリンク Research Memo(2):SNS上の口コミデータ解析ツールとインバウンド消費支援サービスが主力

発行済 2017-04-11 15:47
更新済 2017-04-11 16:00
ホットリンク Research Memo(2):SNS上の口コミデータ解析ツールとインバウンド消費支援サービスが主力
■会社概要

1. 会社沿革
ホットリンク {{|0:}}は、2000年6月に現代表取締役社長の内山幸樹(うちやまこうき)氏が、 「知識循環型社会のインフラを担い、世界中の人々が”HOTTO(ほっと)”できる世界の実現に貢献する」というミッションを掲げて創業した。
内山氏は大学院在学中の1995年に日本で最初期の検索エンジンとなる 「日本サーチエンジン」 の開発プロジェクトに参加するなど、インターネット市場の黎明期から、その技術開発に携わってきた経歴を持つ。


2000年後半以降、インターネット業界で個人のブログや 「2ちゃんねる」 といったソーシャルメディアが急速に普及し始めたことを契機に、同社ではソーシャルメディアに書き込まれる投稿記事をベースとした分析サービスを展開していくことになる。
2005年にブログの分析を開始したのを皮切りに、2008年には(株)ガーラバズから電通バズリサーチ事業(ソーシャル・ビッグデータの分析事業)を譲受し、現在の主力サービスであるソーシャルメディア分析ツール 「クチコミ@係長」の提供を本格的に開始した。
また、2012年には、ソーシャルリスク・モニタリングサービス「e-mining」を提供していたガーラバズを完全子会社化(同年、吸収合併)し、同サービスもラインナップに加えている。


ソーシャルメディアの分析サービスにおいては、ソーシャルメディア側が保有する投稿記事などのデータを購入する必要があるが、同社はブログのほかに、「2ちゃんねる」「Twitter」「Sina Weibo」といった大手SNSのデータの使用販売権を、各運営会社やデータ供給会社などと正式契約を結ぶことで獲得している。
中国最大のSNSである 「Sina Weibo」に関しては、2014年6月に世界で唯一販売権を持つ米Effyisと業務提携を行い、中国を除くアジア・パシフィック地域での独占販売代理権を取得している。
なお、Effyisについては2015年1月に100%子会社化をしている。


中国からの訪日観光客が急増した2015年には、インバウンド消費のトレンドをSNS上の口コミデータから分析する定期レポート「図解中国トレンドExpress」の提供を開始しており、現在は「観光×消費×ソーシャル・ビッグデータ」をキーワードとした、企業向けの販売プロモーション支援サービス事業の強化、並びにAI技術を活用した解析ツールの開発に注力している。


2. 事業内容
同社の事業は、SaaS※サービス、ソリューションサービス、その他と3つに分けて開示している。
それぞれの事業内容は以下のとおりとなる。


※ SaaS(Software as a Service):通信ネットワークを通じて顧客にソフトウェアを提供し、顧客が必要なときにネットワークにつないで使用するソフトウェアサービス。
月額ごとに利用料金を徴収するストック型のビジネスモデルとなる。



(1) SaaSサービス
SaaSサービスでは、「クチコミ@係長」と「e-mining」の2つのサービスを提供している。
「クチコミ@係長」は、「2ちゃんねる」や「twitter」、各種ブログなどから収集するソーシャル・ビッグデータをもとに、自社の商品開発や販促活動、競合他社比較等の調査などに利活用する分析ツールとなる。
一方、「e-mining」は収集したソーシャル・ビッグデータの中から将来、自社商品やサービス、ブランドイメージなどに損害を与えかねない風評・評判に関する情報をいち早く発見し、事前に効果的なリスク対策を打てるようにするリスクモニタリングツールとなる。
いずれも初期費用10万円で、月額利用料は「クチコミ@係長」が10万円~、「e-mining」が13万円~となっている。
月額利用料に関しては利用可能ID数や対象メディア、データ容量などによって加算され、大口ユーザーでは月額100万円程度まで利用する企業もある。


累積導入社数は2つ合わせて1,900社以上(「クチコミ@係長」900社以上、「e-mining」1,000社以上)となっており、このうち現在の実稼働数は約500社となっている。
業種的には消費財メーカーやサービス、金融業界など幅広い企業に導入されており、利用企業の約8割が大企業となっている。


「クチコミ@係長」の特徴は、国内最大級のソーシャルメディアデータを保有し、トレンド分析や属性分析などを簡単操作、かつリアルタイムに実行できること、また、テレビやWebニュースなどとのクロスメディア分析、自社が保有するデータ(アンケート、コールログ等)のテキストマイニングを行うデータインポート分析機能なども実装していることが挙げられる。


特に、ソーシャルメディア分析では国内ブログの約90%をカバーしているほか、投稿サイト「2ちゃんねる」の過去データをすべて保有し、また全世界のTwitterデータを販売するGNIPとデータの利権契約を締結し、すべて収集するなど、国内では圧倒的なソーシャルメディアデータの保有量を誇っている。
また、同ツールでは、トレンド分析などをリアルタイムに行えることから、顧客企業が自社のマーケティング施策に迅速に活用することができ、マーケティング部門におけるROI(投資対効果)向上のための支援ツールとして位置付けられている。


一方、「e-mining」は、あらかじめ設定したリスクに関するキーワードを「Twitter」や「2ちゃんねる」などから自動収集し、アラート機能によってこうしたリスクの拡大を早期に察知できるツールとなる。
モニタリングの対象は、「Twitter」「2ちゃんねる」以外にもブログや各種ニュースサイトなど約2,000メディアを網羅し、1日当たり約13百万のWebページを巡回して、カテゴリ別に検索結果を報告する。
特にここ最近ではソーシャルメディアへの投稿を契機に風評被害等が拡大するケースが増えていることもあり、大企業を中心に導入が進んでいる。


(2) ソリューションサービス
ソリューションサービスには、2015年1月に子会社化したEffyis(ブランド名:Socialgist)のソーシャルメディアデータ販売事業、子会社の(株)トレンドExpressが展開する訪日外国人の消費動向分析サービスのほか、「クチコミ@係長」を構成する「データ」及び「分析エンジン」をSIer等に提供するデータプラットフォームサービス等が含まれている。


Effyisは世界中のブログ、掲示板、Q&A、レビューサイト等のソーシャル・ビッグデータを収集し、世界の大手IT企業(ソーシャル・ビッグデータ分析、マーケティングプラットフォーム、BI等のツールベンダーなど)に販売している。
ソーシャル・ビッグデータの流通販売企業では大手3社の一角を占めている。
特に、中国大手ソーシャルメディアのデータに関するフルアクセス権の販売ライセンスを唯一取得しており、中国のソーシャル・ビッグデータに関する収集力では圧倒的な強みを持っている。
主要顧客にはIBMやセールスフォース・ドットコムなどグローバルIT企業のほか、金融機関や政府機関、ベンチャー企業など数多くの企業にデータ販売を行っている。
最大顧客はIBMグループで、売上高の2割強を占めている。


訪日外国人の消費動向分析サービスでは、2015年5月より訪日中国人の消費動向を分析した「図解中国トレンドExpress」の販売を月額8万円で開始したほか、顧客ごとのニーズに合わせたカスタムリサーチサービス(100万円~)も行っている。
「図解中国トレンドExpress」の契約件数としては、2016年12月期で70件程度となっている。


3. 同社の強み
同社の強みは、Effyisを子会社化したことにより世界最大のソーシャルメディアデータ流通企業としての地位を確立したことに加え、同社が持つ世界レベルのビッグデータ解析技術に、Effyisが持つデータストリーミング技術を組み合わせることで、より迅速かつ高度な分析サービスを提供できる体制が整ったことが挙げられる。


また、ソーシャル・ビッグデータを収集・分析するサービスを提供する企業もここ数年で増えてきているが、これら競合の中には、正式な利用契約を締結せずにソーシャルメディアのオープンデータを収集してサービス提供しているところも多い。
コストをかけずにデータを収集しているため利益率も高くなるが、同社では今後、こうしたデータの収集方法は困難になると見ている。
実際、2017年2月に米Twitterがオープンデータの無断収集を今後は禁止する意向であることを表明しており、同社にとっては追い風になることが予想される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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