■業績動向
(1) 2017年3月期第2四半期の業績
a)損益状況
VTホールディングス (T:7593)の2017年3月期第2四半期の決算は、売上高が73,469百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益が3,042百万円(同19.2%減)、経常利益が3,046百万円(同18.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,690百万円(同10.2%減)となった。
M&Aによる子会社の寄与で売上高は上半期で過去最高となった。
また営業利益は前年同期比で減益ではあったが、期初予想(2,300百万円)を上回った。
三菱自動車による燃費データ不正報告の影響により、日産自動車の軽自動車の売上高が上半期中は見込めないとの前提であったが、実際にはこの軽自動車の販売が7月(第2四半期)から再開となり、予想以上に早まったことで期初予想を上回る業績となった。
M&Aによる新規子会社の寄与によって売上高は上半期で過去最高となったが、既存会社ベースではやや不振であった。
利益率の低い海外子会社の売上比率が増加したことなどから、売上総利益率は19.0%(前年同期は19.4%)へ低下した。
また販管費は新規子会社が増えたこともあり10,944百万円(前年同期比6.9%増)となり、対売上高比率も前年同期の14.2%から14.9%へ上昇した。
その結果、営業利益は前年同期比で10.2%減(1,690百万円)となったが、前年同期に特別損失として計上した投資有価証券評価損がなくなったことから、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,690百万円(同10.2%減)となった。
主な部門の状況は下記のとおりとなった。
1)新車部門
2017年3月期第2四半期の同社の新車販売台数は13,392台(前年同期比0.7%増)となったが、M&Aによる海外子会社の寄与分が含まれており、国内だけを見れば8,890台(同1.0%減)と微減であった。
三菱自動車の燃費不正報告の影響で、日産での軽自動車の販売が約3ヶ月間ストップしたことの影響が大きいが、これを除いても国内の新車販売は厳しかったことから、新車部門の売上高は30,146百万円(同0.3%減)となった。
相対的に海外販売の比率が高くなったことから粗利益は3,493百万円(同19.1%減)となり、粗利率は11.6%(前年同期14.3%)へ低下した。
2)中古車部門
同社グループの中古車販売台数は23,361台(前年同期比1.6%増)と微増となったが、内訳は国内が14,653台(同5.4%減)、海外が5,768台(同47.8%増)となっており、この部門もM&Aによる海外の寄与が大きかった。
部門の売上高は22,612百万円(同1.2%増)、粗利益は2,956百万円(同0.9%減)となり、粗利率は13.1%(同13.4%)とほぼ前年同期並みを確保した。
3)サービス部門
サービス部門の売上高は15,159百万円(前年同期比10.7%増)、粗利益5,706百万円(同12.3%増)、粗利率37.6%(同37.1%)となった。
国内における乗用車保有台数は安定的に推移しており、これに伴い同社のサービス部門の収益も着実に伸びている。
4)レンタカー部門
レンタカー部門は新規の出店効果などもあり、売上高は3,154百万円(前年同期比7.4%増)、粗利益は1,276百万円(同7.2%増)と増収・増益で過去最高の売上・利益を達成した。
引き続き予約サイトの強化、TVCMの継続実施などにより個人客の獲得に注力している。
レンタカーの保有台数(12,440台、2015年3月時点)は業界第6位(トップはトヨタレンタリースの107,076台)だが、同業他社に比較して同事業の利益率は高く、子会社J-netレンタリースの経常利益率15.9%(2017年3月期第2四半期)は業界トップクラスである。
グループ内で新車・中古車の販売を行っていることから損保業界とのつながりが深く※、このことがJ-netレンタリースの高い利益率の要因となっている。
※損保業界にとって最大の顧客は新車や中古車の購入者であり、レンタカー業界にとって最大級の顧客が損保業界(代車需要)となっている。
5)住宅・その他
住宅部門では、2014年に連結子会社化した東証2部上場のエムジーホーム (T:8891)を中心に、分譲マンション事業、戸建分譲住宅事業などを行っている。
住宅・その他部門の売上高は2,395百万円(前年同期比15.9%減)、粗利益は552百万円(同31.1%増)と減収・増益となった。
マンション事業は完工物件が多く好調に推移したが、その他工事でグループ会社向けの店舗工事等が多かったことから、連結売上高は内部相殺され減収となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
(1) 2017年3月期第2四半期の業績
a)損益状況
VTホールディングス (T:7593)の2017年3月期第2四半期の決算は、売上高が73,469百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益が3,042百万円(同19.2%減)、経常利益が3,046百万円(同18.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,690百万円(同10.2%減)となった。
M&Aによる子会社の寄与で売上高は上半期で過去最高となった。
また営業利益は前年同期比で減益ではあったが、期初予想(2,300百万円)を上回った。
三菱自動車による燃費データ不正報告の影響により、日産自動車の軽自動車の売上高が上半期中は見込めないとの前提であったが、実際にはこの軽自動車の販売が7月(第2四半期)から再開となり、予想以上に早まったことで期初予想を上回る業績となった。
M&Aによる新規子会社の寄与によって売上高は上半期で過去最高となったが、既存会社ベースではやや不振であった。
利益率の低い海外子会社の売上比率が増加したことなどから、売上総利益率は19.0%(前年同期は19.4%)へ低下した。
また販管費は新規子会社が増えたこともあり10,944百万円(前年同期比6.9%増)となり、対売上高比率も前年同期の14.2%から14.9%へ上昇した。
その結果、営業利益は前年同期比で10.2%減(1,690百万円)となったが、前年同期に特別損失として計上した投資有価証券評価損がなくなったことから、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,690百万円(同10.2%減)となった。
主な部門の状況は下記のとおりとなった。
1)新車部門
2017年3月期第2四半期の同社の新車販売台数は13,392台(前年同期比0.7%増)となったが、M&Aによる海外子会社の寄与分が含まれており、国内だけを見れば8,890台(同1.0%減)と微減であった。
三菱自動車の燃費不正報告の影響で、日産での軽自動車の販売が約3ヶ月間ストップしたことの影響が大きいが、これを除いても国内の新車販売は厳しかったことから、新車部門の売上高は30,146百万円(同0.3%減)となった。
相対的に海外販売の比率が高くなったことから粗利益は3,493百万円(同19.1%減)となり、粗利率は11.6%(前年同期14.3%)へ低下した。
2)中古車部門
同社グループの中古車販売台数は23,361台(前年同期比1.6%増)と微増となったが、内訳は国内が14,653台(同5.4%減)、海外が5,768台(同47.8%増)となっており、この部門もM&Aによる海外の寄与が大きかった。
部門の売上高は22,612百万円(同1.2%増)、粗利益は2,956百万円(同0.9%減)となり、粗利率は13.1%(同13.4%)とほぼ前年同期並みを確保した。
3)サービス部門
サービス部門の売上高は15,159百万円(前年同期比10.7%増)、粗利益5,706百万円(同12.3%増)、粗利率37.6%(同37.1%)となった。
国内における乗用車保有台数は安定的に推移しており、これに伴い同社のサービス部門の収益も着実に伸びている。
4)レンタカー部門
レンタカー部門は新規の出店効果などもあり、売上高は3,154百万円(前年同期比7.4%増)、粗利益は1,276百万円(同7.2%増)と増収・増益で過去最高の売上・利益を達成した。
引き続き予約サイトの強化、TVCMの継続実施などにより個人客の獲得に注力している。
レンタカーの保有台数(12,440台、2015年3月時点)は業界第6位(トップはトヨタレンタリースの107,076台)だが、同業他社に比較して同事業の利益率は高く、子会社J-netレンタリースの経常利益率15.9%(2017年3月期第2四半期)は業界トップクラスである。
グループ内で新車・中古車の販売を行っていることから損保業界とのつながりが深く※、このことがJ-netレンタリースの高い利益率の要因となっている。
※損保業界にとって最大の顧客は新車や中古車の購入者であり、レンタカー業界にとって最大級の顧客が損保業界(代車需要)となっている。
5)住宅・その他
住宅部門では、2014年に連結子会社化した東証2部上場のエムジーホーム (T:8891)を中心に、分譲マンション事業、戸建分譲住宅事業などを行っている。
住宅・その他部門の売上高は2,395百万円(前年同期比15.9%減)、粗利益は552百万円(同31.1%増)と減収・増益となった。
マンション事業は完工物件が多く好調に推移したが、その他工事でグループ会社向けの店舗工事等が多かったことから、連結売上高は内部相殺され減収となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)