■東京センチュリー (T:8439)の業績動向
1. 業績を見るポイント
業績のベースは「営業資産残高」の増減で利益が変動するストックビジネスである。
利益の拡大には「契約実行高」を増やし、「営業資産残高」を積み上げることが必要になる。
また、本業の収益力を判断するためには持分法投資利益なども含めた、「経常利益」を軸に業績を見るのが最も合理的と考えられる。
なお、「経常利益」は「総資産」と「ROA(総資産経常利益率)」の掛け算となるため、収益力向上のためには、「営業資産残高」を積み上げるか(量的拡大)、ROAを高めるか(資産効率の改善)、その両方の動きがポイントとなる。
2. 過去の業績推移
2012年3月期からの業績を振り返ると、「営業資産残高」の順調な積み上げに伴って、売上高、経常利益ともにおおむね右肩上がりで推移している。
特に、第二次中期経営計画がスタートした2014年3月期以降、「営業資産残高」の伸びが著しいのは、「国内オート事業分野」と「スペシャルティ事業分野」の貢献によるものである。
「国内オート事業分野」の拡大については、2014年3月期に日本カーソリューションズとニッポンレンタカーサービスの2社を連結化したことによる影響が大きかった。
また、「スペシャルティ事業分野」の拡大は、2015年3月期に航空機リース世界第4 位のCIT Group Inc.と航空機リース合弁事業を開始したことが主な要因となっている。
国内の長引く低金利の環境下、資産効率を示すROAは、2.0%を超える水準(金融セクターにおいては高い水準)で安定的に推移しており、収益性の高い「スペシャルティ事業分野」「国内オート事業分野」「国際事業分野」を拡大させる同社の戦略が奏功している状況と考える。
2017年3月末の事業分野別の営業資産構成比を2009年3月末(同社発足時)と比較してみると、国内リース事業分野は81%→45%に比率を下げる一方で、スペシャルティ事業分野は12%→28%、国内オート事業分野は3%→14%、国際事業分野は4%→13%と収益性の高い3事業分野がバランスよく拡大することで、同社のポートフォリオを大きく変化させた。
財務面については、営業資産残高の積み上げにより総資産が拡大してきたが、貸倒損失は低水準で推移しており、リスク管理においても現状、懸念点は見当たらない。
自己資本比率は、内部留保の積み増しにより10%レベルで微増の状況である。
3. ROA・ROEについて
ROA(総資産経常利益率)は7期連続で2.0%以上、ROE(自己資本当期純利益率)は8期連続で12%以上の実績を残している。
同業他社と比べて高い水準を維持していることからも、収益性及び資本効率性の高さは同社の特色と言える。
特に、株価との相関関係の高いROEは東証1部上場企業の平均8%台の約1.5倍の水準であり、同社の時価総額の順調な拡大に寄与しているといえる。
今後も同社のROEの推移を注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
1. 業績を見るポイント
業績のベースは「営業資産残高」の増減で利益が変動するストックビジネスである。
利益の拡大には「契約実行高」を増やし、「営業資産残高」を積み上げることが必要になる。
また、本業の収益力を判断するためには持分法投資利益なども含めた、「経常利益」を軸に業績を見るのが最も合理的と考えられる。
なお、「経常利益」は「総資産」と「ROA(総資産経常利益率)」の掛け算となるため、収益力向上のためには、「営業資産残高」を積み上げるか(量的拡大)、ROAを高めるか(資産効率の改善)、その両方の動きがポイントとなる。
2. 過去の業績推移
2012年3月期からの業績を振り返ると、「営業資産残高」の順調な積み上げに伴って、売上高、経常利益ともにおおむね右肩上がりで推移している。
特に、第二次中期経営計画がスタートした2014年3月期以降、「営業資産残高」の伸びが著しいのは、「国内オート事業分野」と「スペシャルティ事業分野」の貢献によるものである。
「国内オート事業分野」の拡大については、2014年3月期に日本カーソリューションズとニッポンレンタカーサービスの2社を連結化したことによる影響が大きかった。
また、「スペシャルティ事業分野」の拡大は、2015年3月期に航空機リース世界第4 位のCIT Group Inc.と航空機リース合弁事業を開始したことが主な要因となっている。
国内の長引く低金利の環境下、資産効率を示すROAは、2.0%を超える水準(金融セクターにおいては高い水準)で安定的に推移しており、収益性の高い「スペシャルティ事業分野」「国内オート事業分野」「国際事業分野」を拡大させる同社の戦略が奏功している状況と考える。
2017年3月末の事業分野別の営業資産構成比を2009年3月末(同社発足時)と比較してみると、国内リース事業分野は81%→45%に比率を下げる一方で、スペシャルティ事業分野は12%→28%、国内オート事業分野は3%→14%、国際事業分野は4%→13%と収益性の高い3事業分野がバランスよく拡大することで、同社のポートフォリオを大きく変化させた。
財務面については、営業資産残高の積み上げにより総資産が拡大してきたが、貸倒損失は低水準で推移しており、リスク管理においても現状、懸念点は見当たらない。
自己資本比率は、内部留保の積み増しにより10%レベルで微増の状況である。
3. ROA・ROEについて
ROA(総資産経常利益率)は7期連続で2.0%以上、ROE(自己資本当期純利益率)は8期連続で12%以上の実績を残している。
同業他社と比べて高い水準を維持していることからも、収益性及び資本効率性の高さは同社の特色と言える。
特に、株価との相関関係の高いROEは東証1部上場企業の平均8%台の約1.5倍の水準であり、同社の時価総額の順調な拡大に寄与しているといえる。
今後も同社のROEの推移を注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)