イギリス南部で発生したロシア人の元スパイ暗殺未遂事件に関連し、制裁や報復などで両国が対決姿勢を強めています。
一見するとポンド売り材料ですが、対ロシアでメイ首相の求心力が回復すれば、政権運営の不透明感は当面払しょくされるでしょう。
今月4日に発生したこの事件には、ロシア製の神経剤が使われたとして、イギリスはロシア政府に説明を求めました。
しかし、ロシアがそれを拒否したため、イギリスは駐英ロシア外交官23人を国外追放するという厳しい制裁措置に踏み切ります。
それに対し、今度はロシアが報復としてイギリスの外交官23人の国外退去処分を発表するなど、制裁と報復の応酬で両国間の対立が深まりました。
閣僚の非難合戦も激化しています。
ロシアのラブロフ外相は、ロシア政府に同事件に関与する理由がないと主張。
イギリスの欧州連合(EU)離脱交渉をめぐるメイ政権の求心力低下が背景にあり、ロシアを例によって「悪魔化」することで有権者の目を逸らそうとしていると指摘しました。
イギリスのジョンソン外相はその翌日、プーチン大統領が神経剤の使用を指示した可能性に言及し、ロシア当局を「外交的非礼」と激怒させています。
イギリスとロシアの関係をみると、2014年のロシアによるクリミア併合でイギリスはEUとともに制裁に加わり、さらにメイ政権発足以降はさらに厳しい対応をしている印象を受けます。
例えば、ジョンソン外相は昨年12月、ラブロフ外相との会談でロシア当局が外国の選挙に介入していることを示す「多数の証拠」があると発言したため両外相による、いわば罵り合いに発展した経緯もあります。
イギリスは2016年6月の国民投票によってEU離脱が決まると、中国やロシアとの関係強化を目指す、との見方が当初はありました。
実際、中国とは外交や経済の結びつきが強まりましたが、ロシア外交は冷める一方です。
メイ首相が就任の際にプーチン大統領は祝電を打ちましたが、今月18日に行われたロシア大統領選で4選を果たしたプーチン氏へのメイ首相からの祝電はありませんでした。
現時点で金融市場への影響は限定的ですが、当面はポンドにとって好材料となるのではないでしょうか。
紛争への警戒感から過度なポンド高が抑えられるため、株価の押し上げ要因となりそうです。
また、1980年代に改革で不人気だったサッチャー首相がフォークランド紛争をきっかけに支持率を高めたように、保守党内で求心力が低下しているメイ首相の政治基盤が安定すれば、ポンド売りを弱めるでしょう。
この問題は今後、どのように展開するでしょうか。
貿易面からみると、ロシアはウクライナ問題で制裁を受けているにもかかわらず、経済の持ち直しによりイギリスとの輸出入規模が昨年から拡大しているため、国交断絶となった場合には双方にそれなりの影響が見込まれます。
ビジネス・サイドから解決の余地が生まれれば、対立の激化を抑制する可能性はあるでしょう。
一見するとポンド売り材料ですが、対ロシアでメイ首相の求心力が回復すれば、政権運営の不透明感は当面払しょくされるでしょう。
今月4日に発生したこの事件には、ロシア製の神経剤が使われたとして、イギリスはロシア政府に説明を求めました。
しかし、ロシアがそれを拒否したため、イギリスは駐英ロシア外交官23人を国外追放するという厳しい制裁措置に踏み切ります。
それに対し、今度はロシアが報復としてイギリスの外交官23人の国外退去処分を発表するなど、制裁と報復の応酬で両国間の対立が深まりました。
閣僚の非難合戦も激化しています。
ロシアのラブロフ外相は、ロシア政府に同事件に関与する理由がないと主張。
イギリスの欧州連合(EU)離脱交渉をめぐるメイ政権の求心力低下が背景にあり、ロシアを例によって「悪魔化」することで有権者の目を逸らそうとしていると指摘しました。
イギリスのジョンソン外相はその翌日、プーチン大統領が神経剤の使用を指示した可能性に言及し、ロシア当局を「外交的非礼」と激怒させています。
イギリスとロシアの関係をみると、2014年のロシアによるクリミア併合でイギリスはEUとともに制裁に加わり、さらにメイ政権発足以降はさらに厳しい対応をしている印象を受けます。
例えば、ジョンソン外相は昨年12月、ラブロフ外相との会談でロシア当局が外国の選挙に介入していることを示す「多数の証拠」があると発言したため両外相による、いわば罵り合いに発展した経緯もあります。
イギリスは2016年6月の国民投票によってEU離脱が決まると、中国やロシアとの関係強化を目指す、との見方が当初はありました。
実際、中国とは外交や経済の結びつきが強まりましたが、ロシア外交は冷める一方です。
メイ首相が就任の際にプーチン大統領は祝電を打ちましたが、今月18日に行われたロシア大統領選で4選を果たしたプーチン氏へのメイ首相からの祝電はありませんでした。
現時点で金融市場への影響は限定的ですが、当面はポンドにとって好材料となるのではないでしょうか。
紛争への警戒感から過度なポンド高が抑えられるため、株価の押し上げ要因となりそうです。
また、1980年代に改革で不人気だったサッチャー首相がフォークランド紛争をきっかけに支持率を高めたように、保守党内で求心力が低下しているメイ首相の政治基盤が安定すれば、ポンド売りを弱めるでしょう。
この問題は今後、どのように展開するでしょうか。
貿易面からみると、ロシアはウクライナ問題で制裁を受けているにもかかわらず、経済の持ち直しによりイギリスとの輸出入規模が昨年から拡大しているため、国交断絶となった場合には双方にそれなりの影響が見込まれます。
ビジネス・サイドから解決の余地が生まれれば、対立の激化を抑制する可能性はあるでしょう。