金曜日のアジア市場午前における原油価格は上昇となった。来週にウィーンで行われるOPEC総会を前に、原油産出主要国であるロシアが減産の必要性を認めたからである。
日本時間金曜日13時04分時点における、ニューヨーク商品取引所の1月限WTI原油 先物は0.41%上昇の1バレル51.66ドル、ロンドンインターコンチネンタル取引所の2月限ブレント原油 先物は0.57%上昇の60.25ドルでの取引となっている。
ロイター通信によると、ロシアはサウジアラビアとの協調減産に乗り出す可能性について報じている。両国は12月6~7日にオーストリアで行われるOPEC総会にて、OPEC加盟国と減産について協議し、今後6ヶ月間の産出量を決定する。サウジは過剰供給を避けるため、日量100~140万バレルの減産を提案している。
ロイター通信によると、関係者は「ロシアからの減産の必要性について議論を行う。問題は減産をどのくらい早く、どのくらいの量行うかだ」と語っている。
ロシアのプーチン大統領はサウジアラビアのムハンマド皇太子と、30日にアルゼンチンで開催されるG20首脳会議において会談を行う。ロイター通信によると、プーチン大統領は水曜日、「ロシアはOPEC加盟国と連絡を取っているが、原油価格は1バレル60ドルが適正だろう」と述べた。一方で、サウジのエネルギー相は「サウジが単独で減産に踏み切ることはない」と述べている。
米国がイラン制裁発動後、イラン供給分をサウジが補う形で供給量を増やすことができたことから、このような方針に至ったと考えられる。しかし、米国政府はイランからの輸入禁止適用除外を8ヶ国に認めている。サウジアラビアは過剰供給を恐れて、OPEC加盟国に対して減産を求めていくと思われる。
トランプ米大統領は石油産出国に対して増産を要求することで、さらに原油価格を押し下げようとしている。同氏はG20において、サウジアラビアとロシアに対して原油価格に関する協議を行うとみられる。
「トランプ大統領の発言は、まるでテレビゲームを意のままに操っているかのようだ」と石油価格情報センターのエネルギー分析グローバルヘッド、トム・クローザ氏はニューヨークタイムズ紙で語った。クローザ氏は、トランプ大統領が産出国に対して、現状の産出量に抑えるよう説得できれば「原油価格は1940年代の水準まで下落する可能性がある」と述べる。