[シンガポール 23日 ロイター] - シンガポール統計局が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、コア指数が前年同月比0.8%上昇と、2016年4月以来の低い伸びとなった。
伸び率は6月の1.2%から鈍化し、ロイターがまとめた市場予想の1.0%も下回った。電力・ガス料金や小売業の販売価格の低下が響いた。
コアCPIは政府の政策の影響を受けやすい自動車や宿泊施設の価格変動を除外したもので、シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)が重視している。
7月の総合CPIは前年比0.4%上昇。伸び率は前月の0.6%から鈍化し、市場予想の0.55%も下回った。
当局は2019年のコアCPIについて、予想レンジ(1─2%)の前半になるとの見通しを示した。これまでは予想レンジの半ばになるとしていた。予想レンジは据え置き。
ムーディーズ・アナリティクスのAPAC担当チーフエコノミスト、スティーブ・コクラン氏は「経済状況が悪化していることを示す新たな証拠となった」と指摘。「金融政策が緩和されるとの見方が強まるだろう。域内の多くの中央銀行はすでに金融緩和を始めている」と述べた。
CPIの発表後、シンガポールドルは下落し、直近では米ドルに対して約0.2%安。
MASと貿易産業省は23日の共同声明で、通年の総合CPIは平均0.5─1.5%になると予想した。
当局は「国内総生産(GDP)の伸び鈍化、世界経済を巡る先行き不透明感、MASによる2018年の金融政策引き締めの抑制効果が継続していることを背景に、インフレ圧力が加速する可能性は低い」との見方を示した。