[シドニー 14日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した10月の雇用統計は、就業者数が前月比1万9000人減と、市場の増加予想に反して減少。減少幅は2016年終盤以来、3年ぶりの大きさを記録した。フルタイム就業者数は1万0300人減だった。失業率は5.3%で予想と一致したものの、9月の5.2%からやや上昇した。
発表を受け、豪ドルは0.3セント安の0.6806米ドル。
モリソン首相はこれまで、労働市場の底堅さは続いているとして、景気刺激策は講じない姿勢を示してきたが、経済活動と雇用の支援に向け、金融・財政面での一段の刺激策が必要との見方が一段と強まっている。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のエコノミスト、Kaixin Owyong氏は「雇用の伸びの鈍化は、消費支出が回復するとのオーストラリア準備銀行(中銀)の見通しにも影を落とす」と指摘。
「政府が財政面での追加刺激策に踏み切るのが理想だが、そうならない場合は、中銀が非伝統的な政策を採用し、政策金利を0.25%まで引き下げる可能性がある」と述べた。
中銀はすでに今年3回利下げし、政策金利は過去最低の0.75%となっているが、今のところその効果は住宅価格の上昇としてしか表れていない。
金利先物市場は12月3日の次回理事会で中銀が25ベーシスポイント利下げする確率を24%程度織り込んでいる。一方、来年2月の利下げ確率は62%に上昇した。