[ダボス(スイス) 20日 ロイター] - 世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の開幕に先立ちプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が20日公表した最高経営責任者(CEO)の意識調査で、半数以上が今年の世界経済について減速を予想していることが分かった。
83カ国のCEO、1581人に実施した調査によると、世界経済の成長減速を予想したCEOは53%と、前年の29%を上回り、PwCがこの質問を開始した2012年以降で最も高い比率となった。
対照的に、米中の貿易摩擦が和らぐ中、多くの大企業の株価は、過去最高値付近で推移している。
ただ、調査は米中が「第1段階」の通商合意に至る前の2019年9─10月に実施された。英国の合意なき欧州連合(EU)離脱を巡る懸念も調査実施後に和らいだ。
向こう12カ月間の自社の成長について「非常に自信がある」と答えたCEOは27%と、前年の35%から低下し、2009年以来の低さとなった。
PwCはこうした結果を踏まえ、2020年の世界経済成長が2.4%に減速するとの見通しを示した。
PwCのグローバル会長であるボブ・モリッツ氏は「貿易摩擦を巡る根強い不透明感や地政学的問題に加え、気候変動対策で合意が得られていないことを考慮すると、経済成長に対する信頼感の低下は意外ではない」との見方を示した。
調査では、サイバー空間の脅威や気候変動を巡る懸念が高まっていることも分かった。3分の2以上のCEOは、政府がソーシャルメディアのコンテンツを規制する新たな法律を導入し、支配力を持つテクノロジー企業を分割すると予想した。
気候変動はCEOの成長見通しに対するリスクの上位10項目に入らなかったものの、多くのCEOが自社の二酸化炭素(CO2)排出量の削減を望んでいることが示された。
気候変動対策への投資が自社の評価を高めるとの見方に、CEOが「強く同意」する可能性は、これまでより2倍高いことも分かった。