【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。
中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。
関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。
考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。
———コロナ蔓延の責任は習近平とWHOにあるのだからトランプがWHOを中国寄りと非難するのは正しい。
しかし拠出金停止で喜ぶのは習近平だ。
習近平がどれだけ用意周到に国連傘下の専門機関を牛耳ろうとしているかを知るべきである。
◆トランプ大統領がWHO拠出金停止を宣言4月14日、トランプ大統領はWHOへの拠出金を停止すると表明した。
公平であるべきWHOが「中国寄り」の立場を取ったせいで、新型コロナに関する適切な世界への警告を出さず、その結果全世界に感染を拡大させたというのが理由だ。
WHOのテドロス事務局長は1月23日に緊急事態宣言発布を延期し、1月30日にようやく発布したが、WHO緊急事態宣言に付き物の「当該国への渡航や交易を禁止する」という条件を「その必要はない」として外し、緊急事態宣言を骨抜きにした。
それが新型コロナを全世界に蔓延させる原因を作っている。
これに関しては1月31日の※7)など国連の要職を親中派で固め、国連そのものを中国が乗っ取ろうとしていることは明らかだ。
2019年8月26日、ワシントン・タイムズは“U.S. needs to respond to rising Chinese influence in the United Nations”(※8、アメリカは国連で増大している中国の影響力に対処しなければならない)という警鐘を鳴らしている。
この傾向はコロナ前から着々と進められてきているのだが、その事実に注目する日本人は少ない。
トランプもこの事実に目を向けるべきで、テドロスや習近平を非難するのは良いが、拠出金を停止して何が起きるのかを大局的視点から分析した上で手を打たなければならないのではないだろうか。
ましてやコロナが過ぎていった後の「アフターコロナ」の世界を考えてみて欲しい。
中国はいち早くコロナの大拡散から抜け出して、今やコロナ禍にまみれ苦しんでいる国々に医療物資を提供したり医療支援チームを派遣したりなどして「コロナ支援外交」を展開している。
対象国は一帯一路沿線国を中心に130ヵ国に及んでいる。
アフターコロナで、支援を受けた国々が「中国を糾弾する側」には立たないだろう。
70日以上に及ぶ完全な都市封鎖により経済的に大きな打撃を受けたであろう中国は、しかしその分だけいちはやくコロナから抜け出して経済復帰もほぼ100%に達しており、今もなお感染者が爆発的に増えているアメリカ経済を凌いでいく可能性もある。
習近平が全世界に拡散させたコロナ禍を通して、中国は「アフターコロナの世界新秩序」をもう組み立てようと虎視眈々と狙っているのである。
トランプのWHO拠出金停止は、中国が目論む新世界秩序を決定的に加速させる危険性を孕んでいる。
慎重に注視しなければならない。
(なお、悪いのは中国共産党という言論弾圧をする一党支配体制であって、少なからぬ中国の一般庶民はむしろ犠牲者であることを付言しておきたい。
)(本論はYahooニュース個人からの転載である)写真:AP/アフロ※1:※1:https://grici.or.jp/※2:https://grici.or.jp/854※3:https://grici.or.jp/1138※4:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200415-00000139-jij-n_ame※5:https://www.youtube.com/watch?v=TypEKtdYN6w&feature=youtu.be&t=347※6:https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20171206-00078945/※7:https://grici.or.jp/1261※8:https://www.washingtontimes.com/news/2019/aug/26/us-needs-respond-rising-chinese-influence-united-n/
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