[ロンドン 20日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は20日発表した報告書で、今年のエネルギー消費による二酸化炭素(CO2)排出量は5%近く増加するとして、新型コロナウイルス危機からの回復は気候にとって「持続可能ではない」との見解を示した。
報告書では、今年のCO2排出量は330億トンと、2020年比15億トン増加すると予測。増加量は過去10年以上で最大となる見通し。
IEAのビロル事務局長は、排出量の増加は石炭火力発電の復活によるもので、特にアジアで顕著だと指摘。「新型コロナ危機からの経済回復は、現在のところ気候に対して持続可能ではないという厳しい警告だ」と述べた。
IEAの年次報告書では、最新の国別データや経済成長の傾向、稼働予定の新エネルギープロジェクトなどを分析している。
2021年の世界のエネルギー需要は、途上国を中心に4.6%増加する基調にあり、2019年の水準を上回る見込み。
また、すべての化石燃料の需要が増加するほか、石炭とガスの需要も2019年の水準を上回るという。
太陽光や風力、水力発電の需要が加速しているにもかかわらず、石炭の使用量の増加は自然エネルギーの使用量の増加を60%近く上回る。2021年に予想される石炭需要の伸びの80%以上は、中国を中心としたアジア各国によるものとみられている。