[パリ 28日 ロイター] - 独立系シンクタンクのエンバーが28日に発表したリポートによると、上半期の欧州連合(EU)からの発電関連炭素排出量が、電力需要が新型コロナウイルス禍前の水準に戻ったにもかかわらず減少した。
EUの年間電力需要は2010年の金融危機後以来最大の伸びを示す見通しだが、今年上半期の発電の3分の2が、再生可能燃料や原子力など炭素排出がゼロまたはゼロに近い「クリーンエネルギー」に由来していると指摘した。
上半期のクリーンエネルギーによる発電は2019年の同じ時期に比べ3%(24テラワット時)増で、前年同期比では1%前後の増加となる。
エンバーのアナリスト、チャールズ・ムーア氏は、「2030年のEUの気候変動対策目標を達成するには、クリーンエネルギーの伸び率が毎年2倍になる必要がある。いまから始める場合、2035年までに100%クリーンエネルギーにするには、この伸び率が約3倍になる必要がある」と述べた。
またリポートは、電源のシフトにより、電力部門の排出量はコロナ禍前の同じ時期から12%減少していると指摘。再生可能エネルギー発電の着実な伸びが化石燃料発電の回復を抑制していると分析した。
石炭火力発電は19年上半期比で16%(36テラワット時)減少、電源構成に占める割合は同2%低下した。
ムーア氏は、「EUは電力部門の脱炭素で好ましい進展を見せており、今年英グラスゴーで開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けて素晴らしい兆候だ」と述べた。
ただ、「まだ充分なペースではない。全政府は気候変動に関するEUの新たな法律について熟考し、目標達成に向けて改善した計画を提示する必要がある」と付け加えた。
今年のCOP26は10月31日から11月12日まで開催される。