[モスクワ 6日 ロイター] - ロシアのノワク副首相は6日、ロシアからドイツに天然ガスを運ぶ「ノルドストリーム2」の早期承認が高騰する欧州の天然ガス価格の沈静化につながるとの見方を示した。
欧州の天然ガス価格は、需給逼迫などの要因で過去最高値を記録。指標価格となる「オランダTTF」11月限は6日、1メガワット時当たり150ユーロ超と過去最高値を記録した。年初からは約8倍の値上がりとなっている。その後、114ユーロまで下げた。
ノワク氏はエネルギー関連の会議で、敷設工事を完了したノルドストリーム2を操業させるための欧州側の早期承認が、価格引き下げにつながると指摘した。
ノルドストリーム2はドイツ当局の承認を待っているが、数カ月先になる可能性がある。米国は欧州のロシアへのエネルギー依存度が高まるとして稼働に反対してきた。
ノワク氏は、ガスプロムが運営する電子販売プラットフォームを活用して供給を増やすことも価格引き下げにつながるとの見方も示した。
会議を主催したロシアのプーチン大統領は、提案されているガスの供給拡大に同意したものの、ただ、ロシア国内の需要をまず満たしてからになると説明した。
<プーチン氏、価格高騰で反論>
プーチン氏は、欧州の天然ガス価格高騰について、欧州がロシアからのガス供給で長期契約を縮小し、スポット市場での調達を優先したことが失策だったと指摘した。
ロシアはこれまで欧州にとり信頼できるエネルギー供給国だと再度強調し、今年のロシアのガス輸出量はウクライナ経由での供給拡大などで過去最高に達するかもしれないとし、ロシアは市場安定に向け取り組む用意があると述べた。
また、ペスコフ大統領報道官は6日、「ロシアはガス市場での動向に全く関与していない」と主張し、天然ガス価格高騰の要因は、景気回復やエネルギー需給逼迫などとの見方を示した。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のカドリ・シムソン委員(エネルギー担当)は5日、ロシアが主要天然ガス供給国としての立場を利用して欧州の天然ガス価格を引き上げていると一部加盟国が主張していることを受け、調査を行っていると明らかにした。
<EU、共同調達を議論>
EUの閣僚は、天然ガスの調達で交渉力を高めるめに共同購入を始めるべきかや戦略的備蓄について議論した。
EUの執行機関である欧州委員会のカドリ・シムソン委員(エネルギー担当)は欧州議会で「政策が必要なことは間違いない」と述べた。
EUはこの日、気候変動対策計画を軌道に乗せるために、電力市場の運営方法を検証するほか、域内規制の見直しを検討すると発表。欧州委は来週、EUおよび各国政府がどのように対応すべきかを示す選択肢を公表する見通し。シムソン委員によると、欧州委はEUが計画しているグリーンエネルギーへの移行実現にEUの電力市場が適しているかどうかに関する調査も開始するという。