■今後の見通し
1. 2022年12月期業績の見通し
サイオス (T:3744)の2022年12月期の連結業績予想は、売上高で前期比1.7%増の16,000百万円、営業利益で同72.1%減の100百万円、経常利益で同70.0%減の120百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同83.7%減の60百万円と増収減益を見込んでいる。
2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を適用することにより、売上高で400百万円の減少要因となっており、同影響を除いたベースでは4.3%増収見込みとなっている。
増収減益の見込みとなっているのは、今後の成長事業と位置付けているSaaS事業の強化に向けて研究開発費を積み増すこと、生産性改善のための一時費用を計上することが要因である。
営業利益の増減要因を見ると、売上高の増加675百万円※に対して、売上原価の増加で337百万円※、マーケティング・営業強化のための販管費増加で326百万円を見込んでいるほか、SaaS、クラウドサービス強化のための研究開発費増加で154百万円、生産性改善のための一時費用として116百万円(天王洲アイルオフィス閉鎖費用80百万円、ERPリプレイス費用36百万円)を見込んでいる。
※「収益認識に関する会計基準」の適用による影響額(400百万円)は含まない。
SaaS事業で新たにMed Tech分野に進出
2. 重点戦略
2021年12月期の重点戦略として、SaaS事業を中心とした既存製品・サービスの強化、新製品・サービスの投入、マーケティング・開発体制強化、販管費の最適化などに取り組む方針となっている。
(1) 既存製品・サービスの強化
顧客満足度の向上と持続的成長を図るため、BtoB向けをターゲットとしたSaaS事業への投資を継続して強化する。
具体的には、主力製品となる「LifeKeeper」を中心にクラウド対応を強化していくほか、「Gluegentシリーズ」のさらなる拡販を進めていく。
「Gluegentシリーズ」では、2021年12月にリリースした「情シスクラウド」が注目されている。
クラウドサービス利用にかかる情報システム/コーポレートIT部門の管理業務負担を軽減するIT業務管理サービスとなる。
社内で導入している各種クラウドサービスの利用者情報や利用サービスの状況を一元管理し、日常的に行う業務のワークフローをプロセス化することにより業務効率化を支援するサービスで、50製品以上のクラウドサービスと連携している。
今後はテレワーク管理機能や利用端末の制限機能、認証管理機能等の機能拡充を順次進めていく予定だ。
販売戦略としては引き続きクロスセリングの取り組みを推進していく。
クロスセリングの取り組み状況については、担当チームが毎月モニタリングしており、売上増に貢献する取り組みとして期待される。
(2) 新製品・サービスの強化
SaaS事業の新製品として、2022年春から精神科病院向け電子カルテサービス「INDIGO NOTE(インディゴノート)」の提供を開始する。
電子カルテサービスは従来、独自のデータ保存形式での管理が主流であったが、同製品は愛媛大学医学部医療情報講座との共同研究の下、国際標準データ規格「HL7®FHIR®(Fast Healthcare Interoperability Resource)」を国内で初採用し、処方や検査結果などは厚生労働省標準規格に準拠して記述することで、データの二次利用性も確保した。
さらに、フルクラウドでのサービス展開のため初期コスト負担が軽減されていることが特長だ。
特に、精神科病院では病院や自治体等と情報連携する機会も多く、今後国内での普及が見込まれる国際標準データ規格「HL7®FHIR®」をいち早く採用したことは、先行企業に対する差別化要因となる。
厚生労働省の「医療施設調査」※によると、国内の精神科病院は2019年時点で1,054施設、一般病院の精神科は1,760施設で、診療所も含めると7,000施設前後の規模になると見られる。
電子カルテの普及率は2017年時点で46.7%(一般病院)となっており、直近は5割を超えていると見られるが、中小規模の医療施設での普及率はまだ低いようで、初期負担の少ないクラウドサービスの提供によって、顧客開拓を進めていくものと予想される。
なお、精神科用の電子カルテサービスに関しては10社程度が参入している。
業界トップは(株)レスコで、精神科病院向けではパッケージ品「Alpha」を220施設に、診療所向けではクラウド型サービス「Warokuクリニックカルテ」を86施設に導入している。
※ 出所:医療施設調査(厚生労働省)「電子カルテシステム等の普及状況の推移」
(3) マーケティング・製品開発強化
SaaS事業を拡大していくため、マーケティング・開発体制の強化を進めていく。
具体的には、マーケティング人材の採用及びデジタルマーケティング施策を継続強化していくことで、同社製品・サービスの市場認知度を高め、受注獲得につなげていく。
また、エンジニアの拡充による開発体制の強化と顧客ニーズに適う製品開発に取り組むことで、顧客の期待に応える製品をタイムリーに提供していく予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 2022年12月期業績の見通し
サイオス (T:3744)の2022年12月期の連結業績予想は、売上高で前期比1.7%増の16,000百万円、営業利益で同72.1%減の100百万円、経常利益で同70.0%減の120百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同83.7%減の60百万円と増収減益を見込んでいる。
2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を適用することにより、売上高で400百万円の減少要因となっており、同影響を除いたベースでは4.3%増収見込みとなっている。
増収減益の見込みとなっているのは、今後の成長事業と位置付けているSaaS事業の強化に向けて研究開発費を積み増すこと、生産性改善のための一時費用を計上することが要因である。
営業利益の増減要因を見ると、売上高の増加675百万円※に対して、売上原価の増加で337百万円※、マーケティング・営業強化のための販管費増加で326百万円を見込んでいるほか、SaaS、クラウドサービス強化のための研究開発費増加で154百万円、生産性改善のための一時費用として116百万円(天王洲アイルオフィス閉鎖費用80百万円、ERPリプレイス費用36百万円)を見込んでいる。
※「収益認識に関する会計基準」の適用による影響額(400百万円)は含まない。
SaaS事業で新たにMed Tech分野に進出
2. 重点戦略
2021年12月期の重点戦略として、SaaS事業を中心とした既存製品・サービスの強化、新製品・サービスの投入、マーケティング・開発体制強化、販管費の最適化などに取り組む方針となっている。
(1) 既存製品・サービスの強化
顧客満足度の向上と持続的成長を図るため、BtoB向けをターゲットとしたSaaS事業への投資を継続して強化する。
具体的には、主力製品となる「LifeKeeper」を中心にクラウド対応を強化していくほか、「Gluegentシリーズ」のさらなる拡販を進めていく。
「Gluegentシリーズ」では、2021年12月にリリースした「情シスクラウド」が注目されている。
クラウドサービス利用にかかる情報システム/コーポレートIT部門の管理業務負担を軽減するIT業務管理サービスとなる。
社内で導入している各種クラウドサービスの利用者情報や利用サービスの状況を一元管理し、日常的に行う業務のワークフローをプロセス化することにより業務効率化を支援するサービスで、50製品以上のクラウドサービスと連携している。
今後はテレワーク管理機能や利用端末の制限機能、認証管理機能等の機能拡充を順次進めていく予定だ。
販売戦略としては引き続きクロスセリングの取り組みを推進していく。
クロスセリングの取り組み状況については、担当チームが毎月モニタリングしており、売上増に貢献する取り組みとして期待される。
(2) 新製品・サービスの強化
SaaS事業の新製品として、2022年春から精神科病院向け電子カルテサービス「INDIGO NOTE(インディゴノート)」の提供を開始する。
電子カルテサービスは従来、独自のデータ保存形式での管理が主流であったが、同製品は愛媛大学医学部医療情報講座との共同研究の下、国際標準データ規格「HL7®FHIR®(Fast Healthcare Interoperability Resource)」を国内で初採用し、処方や検査結果などは厚生労働省標準規格に準拠して記述することで、データの二次利用性も確保した。
さらに、フルクラウドでのサービス展開のため初期コスト負担が軽減されていることが特長だ。
特に、精神科病院では病院や自治体等と情報連携する機会も多く、今後国内での普及が見込まれる国際標準データ規格「HL7®FHIR®」をいち早く採用したことは、先行企業に対する差別化要因となる。
厚生労働省の「医療施設調査」※によると、国内の精神科病院は2019年時点で1,054施設、一般病院の精神科は1,760施設で、診療所も含めると7,000施設前後の規模になると見られる。
電子カルテの普及率は2017年時点で46.7%(一般病院)となっており、直近は5割を超えていると見られるが、中小規模の医療施設での普及率はまだ低いようで、初期負担の少ないクラウドサービスの提供によって、顧客開拓を進めていくものと予想される。
なお、精神科用の電子カルテサービスに関しては10社程度が参入している。
業界トップは(株)レスコで、精神科病院向けではパッケージ品「Alpha」を220施設に、診療所向けではクラウド型サービス「Warokuクリニックカルテ」を86施設に導入している。
※ 出所:医療施設調査(厚生労働省)「電子カルテシステム等の普及状況の推移」
(3) マーケティング・製品開発強化
SaaS事業を拡大していくため、マーケティング・開発体制の強化を進めていく。
具体的には、マーケティング人材の採用及びデジタルマーケティング施策を継続強化していくことで、同社製品・サービスの市場認知度を高め、受注獲得につなげていく。
また、エンジニアの拡充による開発体制の強化と顧客ニーズに適う製品開発に取り組むことで、顧客の期待に応える製品をタイムリーに提供していく予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)