日経平均は小幅に4日続落。
39.21円安の27626.77円(出来高概算4億7202万株)で前場の取引を終えている。
先週末1日の米株式市場でNYダウは139.92ドル高と3日ぶりに反発。
3月雇用統計が労働市場の強さを裏付けたことで寄り付き後上昇。
一方、賃金の伸びが予想を上回ったことで、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ観測が強まったほか、長短金利の逆転で景気後退懸念も浮上し、一時下落に転じた。
しかし、第2四半期入りに伴う新規投資が下支えとなり再び上昇。
引けにかけて上げ幅を拡大した。
ナスダック総合指数も引けにかけてプラスに転じ、+0.28%と3日ぶりの反発。
米株高を引き継いで週明けの日経平均は19.67円高でスタート。
ただ、円安・ドル高が一服するなか、先週見られたリバウンド基調の一服が今週も続き、一時27578.81円(87.17円安)まで下落する場面があった。
その後は下げ渋ったが、積極的に買い上がる向きは少なく、前日終値を挟んだもみ合いが続いた。
個別では、商船三井 (T:9104)などの海運大手が堅調。
中国当局が米市場上場の中国企業の大半について監査報告書への米規制当局のアクセスを認める方針と伝わり、ソフトバンクG (T:9984)が高い。
1日に新事業を担う「ソニーモビリティ」を設立したソニーG (T:6758)も上昇。
米雇用統計の発表後も動きが落ち着いている長期金利を支援要因に、東証プライム値上がり率上位にはMSOL (T:7033)やラクス (T:3923)、Sansan (T:4443)などの中小型グロース(成長)株が並んでいる。
ほか、決算が好感された象印マホービン<
7965>、月次動向が評価されたKeePer技研 (T:6036)などが急伸。
一方、クアルコムのレーティング引き下げなどもあり連日で大幅安となったフィラデルフィア半導体株指数(SOX)を嫌気し、東エレク (T:8035)やスクリン (T:7735)などが大幅安。
三菱商事 (T:8058)や日本製鉄 (T:5401)など資源関連の一角も軟調。
セクターではその他金融業、陸運業、空運業などが下落率上位に並んでいる一方、海運業、医薬品、鉱業などが上昇率上位に並んでいる。
東証プライムの値下がり銘柄は全体の38%、対して値上がり銘柄は59%となっている。
週明けの日経平均は先週の流れを引き継いで軟調な展開が継続。
新年度相場入りに伴う新規資金の流入や、4月は海外投資家が買い越す傾向にあるというアノマリーなども期待されているが、3月半ばからの急速リバウンドで日経平均の上げ幅は一時3000円も超えていただけに、上昇一服感が強い。
配当落ち日を過ぎて高配当利回り株の物色も一巡するなか、今月末からは3月期決算企業の本決算シーズンが始まる。
外部環境の不透明感が強いなか、業績見通しが市場予想比で弱いものになるガイダンスリスクなどが懸念されているため、今は、主力大型株は積極的に手掛けにくい。
本日の東証全体の売買代金上位にはHENNGE (T:4475)やJTOWER (T:4485)など新興市場の中小型株が大型株と並んで上位にランクインしている。
手掛かり材料難のなか、個人投資家を中心に値動き重視の売買が主体となっている様相が窺える。
今週末には製造業決算の前哨戦と位置付けられる安川電機 (T:6506)の決算なども控えているため、こうした主力大型株よりは新興中小型株が主体の相場展開が続きそうだ。
一方、先週末にかけて相対的に強い動きが続いている新興市場も、今週は6日には連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表予定のことを踏まえると、近いうちに上昇一服も想定される。
市場は既に5月、6月会合での0.5ptの利上げをも大方織り込んでいるため、無難通過の確率が高い。
ただ、バランスシートの縮小、いわゆる「量的引き締め(QT)」が早ければ5月にも開始されると予想されるなか、QTに関する内容への注目度は高く、相場の動きに変化をもたらすきっかけにもなり得る。
足元、ウクライナ情勢を巡る不透明感やインフレ高進、連邦準備制度理事会(FRB)
による急激な利上げ観測などを背景に景気後退懸念が高まっていることで、米10年債利回りの上昇は一服。
先週末からは再び10年債利回りが2年債利回りを下回る「逆イールド」も発生している。
こうした長期金利の低下は、2023、24年まで利上げを続けるとするFRBの計画に反して、市場は来年半ばにはFRBは早くも利下げに転じざるを得ない状況に追い込まれると予想していることが背景にある。
足元の中小型株を中心としたグロース株の大幅なリバウンドは、年始からの下落を受けた自律反発に過ぎないとも言える一方、こうした将来の利下げを早くも織り込みにいっている可能性がある。
しかし、大幅な利上げを行いつつ、QTもかつてない速いペースで行うという今回の引き締めプロセスは異例なもので、相場への影響は計り知れない。
足元の中小型グロース株のリバウンドがいつまでも続くとは想定しにくいだろう。
相場が急速リバウンドしていた3月半ば以降、この間、米10年債利回りから期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利は急速にそのマイナス幅を縮小していた。
グロース株はこの実質金利の上昇を無視してテクニカル要因主体で大きく上昇していたため、リバウンド余地はほぼ解消したとも言えそうだ。
本年のFOMCで投票権を有するカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、QTを速やかに行えば利回り曲線がスティープニング化すると主張している。
FOMC議事録内でQTの議論が一段と進んでいることが確認されれば、米国債需給の実質的な悪化が懸念され、足元、落ち着いている長期金利が再び2.5%突破を窺う可能性もあろう。
その際には一段と実質金利のマイナス幅が縮小することが予想され、グロース株の調整要因に繋がる可能性がある。
グロース株が相対的に強い足元の物色動向は速ければ、6日の議事録公表をきっかに賞味期限が切れる可能性に留意したい。
後場の日経平均は引き続き冴えない動きが予想される。
手掛かり材料難のなか、時間外取引のNYダウ先物が軟調に推移しているほか、米長期金利もやや上昇しており、週明けの米国市場の動きが気になるところ。
また、ウクライナ情勢を巡っては、民間人がロシア軍に殺害されたとの報告を受け、ロシアへの追加制裁懸念がくすぶっている。
全体的に模様眺めムードが支配的となるなか、短期筋の売り仕掛けなどに注意したい。
(仲村幸浩)
39.21円安の27626.77円(出来高概算4億7202万株)で前場の取引を終えている。
先週末1日の米株式市場でNYダウは139.92ドル高と3日ぶりに反発。
3月雇用統計が労働市場の強さを裏付けたことで寄り付き後上昇。
一方、賃金の伸びが予想を上回ったことで、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ観測が強まったほか、長短金利の逆転で景気後退懸念も浮上し、一時下落に転じた。
しかし、第2四半期入りに伴う新規投資が下支えとなり再び上昇。
引けにかけて上げ幅を拡大した。
ナスダック総合指数も引けにかけてプラスに転じ、+0.28%と3日ぶりの反発。
米株高を引き継いで週明けの日経平均は19.67円高でスタート。
ただ、円安・ドル高が一服するなか、先週見られたリバウンド基調の一服が今週も続き、一時27578.81円(87.17円安)まで下落する場面があった。
その後は下げ渋ったが、積極的に買い上がる向きは少なく、前日終値を挟んだもみ合いが続いた。
個別では、商船三井 (T:9104)などの海運大手が堅調。
中国当局が米市場上場の中国企業の大半について監査報告書への米規制当局のアクセスを認める方針と伝わり、ソフトバンクG (T:9984)が高い。
1日に新事業を担う「ソニーモビリティ」を設立したソニーG (T:6758)も上昇。
米雇用統計の発表後も動きが落ち着いている長期金利を支援要因に、東証プライム値上がり率上位にはMSOL (T:7033)やラクス (T:3923)、Sansan (T:4443)などの中小型グロース(成長)株が並んでいる。
ほか、決算が好感された象印マホービン<
7965>、月次動向が評価されたKeePer技研 (T:6036)などが急伸。
一方、クアルコムのレーティング引き下げなどもあり連日で大幅安となったフィラデルフィア半導体株指数(SOX)を嫌気し、東エレク (T:8035)やスクリン (T:7735)などが大幅安。
三菱商事 (T:8058)や日本製鉄 (T:5401)など資源関連の一角も軟調。
セクターではその他金融業、陸運業、空運業などが下落率上位に並んでいる一方、海運業、医薬品、鉱業などが上昇率上位に並んでいる。
東証プライムの値下がり銘柄は全体の38%、対して値上がり銘柄は59%となっている。
週明けの日経平均は先週の流れを引き継いで軟調な展開が継続。
新年度相場入りに伴う新規資金の流入や、4月は海外投資家が買い越す傾向にあるというアノマリーなども期待されているが、3月半ばからの急速リバウンドで日経平均の上げ幅は一時3000円も超えていただけに、上昇一服感が強い。
配当落ち日を過ぎて高配当利回り株の物色も一巡するなか、今月末からは3月期決算企業の本決算シーズンが始まる。
外部環境の不透明感が強いなか、業績見通しが市場予想比で弱いものになるガイダンスリスクなどが懸念されているため、今は、主力大型株は積極的に手掛けにくい。
本日の東証全体の売買代金上位にはHENNGE (T:4475)やJTOWER (T:4485)など新興市場の中小型株が大型株と並んで上位にランクインしている。
手掛かり材料難のなか、個人投資家を中心に値動き重視の売買が主体となっている様相が窺える。
今週末には製造業決算の前哨戦と位置付けられる安川電機 (T:6506)の決算なども控えているため、こうした主力大型株よりは新興中小型株が主体の相場展開が続きそうだ。
一方、先週末にかけて相対的に強い動きが続いている新興市場も、今週は6日には連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表予定のことを踏まえると、近いうちに上昇一服も想定される。
市場は既に5月、6月会合での0.5ptの利上げをも大方織り込んでいるため、無難通過の確率が高い。
ただ、バランスシートの縮小、いわゆる「量的引き締め(QT)」が早ければ5月にも開始されると予想されるなか、QTに関する内容への注目度は高く、相場の動きに変化をもたらすきっかけにもなり得る。
足元、ウクライナ情勢を巡る不透明感やインフレ高進、連邦準備制度理事会(FRB)
による急激な利上げ観測などを背景に景気後退懸念が高まっていることで、米10年債利回りの上昇は一服。
先週末からは再び10年債利回りが2年債利回りを下回る「逆イールド」も発生している。
こうした長期金利の低下は、2023、24年まで利上げを続けるとするFRBの計画に反して、市場は来年半ばにはFRBは早くも利下げに転じざるを得ない状況に追い込まれると予想していることが背景にある。
足元の中小型株を中心としたグロース株の大幅なリバウンドは、年始からの下落を受けた自律反発に過ぎないとも言える一方、こうした将来の利下げを早くも織り込みにいっている可能性がある。
しかし、大幅な利上げを行いつつ、QTもかつてない速いペースで行うという今回の引き締めプロセスは異例なもので、相場への影響は計り知れない。
足元の中小型グロース株のリバウンドがいつまでも続くとは想定しにくいだろう。
相場が急速リバウンドしていた3月半ば以降、この間、米10年債利回りから期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利は急速にそのマイナス幅を縮小していた。
グロース株はこの実質金利の上昇を無視してテクニカル要因主体で大きく上昇していたため、リバウンド余地はほぼ解消したとも言えそうだ。
本年のFOMCで投票権を有するカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、QTを速やかに行えば利回り曲線がスティープニング化すると主張している。
FOMC議事録内でQTの議論が一段と進んでいることが確認されれば、米国債需給の実質的な悪化が懸念され、足元、落ち着いている長期金利が再び2.5%突破を窺う可能性もあろう。
その際には一段と実質金利のマイナス幅が縮小することが予想され、グロース株の調整要因に繋がる可能性がある。
グロース株が相対的に強い足元の物色動向は速ければ、6日の議事録公表をきっかに賞味期限が切れる可能性に留意したい。
後場の日経平均は引き続き冴えない動きが予想される。
手掛かり材料難のなか、時間外取引のNYダウ先物が軟調に推移しているほか、米長期金利もやや上昇しており、週明けの米国市場の動きが気になるところ。
また、ウクライナ情勢を巡っては、民間人がロシア軍に殺害されたとの報告を受け、ロシアへの追加制裁懸念がくすぶっている。
全体的に模様眺めムードが支配的となるなか、短期筋の売り仕掛けなどに注意したい。
(仲村幸浩)