[マドリード 25日 ロイター] - ロシアがアフリカで影響力と活動を強化していることは、北大西洋条約機構(NATO)諸国にとって「憂うべき」脅威であり、ウクライナ危機とともに対処が必要だ――。スペインと英国の国防相は25日の共同記者会見でこうした見解を示した。
スペインのロブレス国防相は、ロシア軍や同国の民間軍事下請け会社「ワグネル・グループ」がマリやリビアなどで活動範囲を広げているのは「非常に明らか」だと指摘。そうした活動が現地での組織犯罪やテロを助長していると非難した。「NATOはこの状況にもはや無関心ではいられない」と訴えた。
6月にはマドリードで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開かれる。これを前に二国間会談のためスペインを訪れたウォレス英国防相は、アフリカで飢餓に一層の政情不安定化が重なれば、欧州に重大な影響を及ぼしかねないと警告した。「(ロシアが)欧州の一方の端で移民を武器に使えるとすれば、もう一方の端でもそれが可能なのは間違いない」と述べた。
ロシアの同盟国ベラルーシは昨年冬にかけて、欧州連合(EU)による制裁への報復措置として、中東などから戦乱や迫害を逃れてきた難民をポーランド国境地帯に送り込み、新たな難民危機を発生させた。ウォレス氏はこの事件に言及した。
ロブレス氏は、6月の首脳会議で策定される新たな戦略構想には、欧州の南縁防衛を含めるべきだと表明した。ウォレス氏もこれに同調し、「ロシアの陸軍は既に消耗して崩れ去り、いったん退役した装備まで導入されている。(だが)これからはロシア海軍がより大きな脅威になるだろう。プーチン大統領は敵対勢力への恫喝手段として海軍を使うことになる。彼は欧州の南縁を含め、(ウクライナとは)別の場所に出現することになる」と強調した。