企業が抱える売掛債権の保証を手掛けるイー・ギャランティ (TYO:8771)。
売掛金が回収できなくなるリスクを回避したい企業の需要をつかみ、コロナ禍においても高成長を続けています。
15年間連続配当の優良企業。
アフターコロナにおける同社の成長見通しはいかに、江藤公則(えとうまさのり)社長にお話を伺います。
◆アフターコロナ、むしろ債権保証は拡大傾向
馬渕 コロナで売掛債権の保証を手掛ける御社に注目が集まり、3年間で株価2倍以上になりましたね。
江藤 世の中を支え、経済を回すためにも売掛債権の保証が必要だということです。
馬渕 危機に直面したことで、御社のビジネスに注目が集まったと思いますが。
経済が再開に向かうなかで業績はさらに成長するのでしょうか?
江藤 売掛債権の保証のビジネスモデルを危機の時にこそ必要だと考える人が多いようですが、それは間違っています。
むしろ経済が再開し“商売が活気づく”ほうが弊社の事業は拡大します。
馬渕 といいますと。
江藤 経済のパイが拡大すれば、売掛債権は増えますよね。
イー・ギャランティの売上高は「保証残高×保証率」で決まる『ストック型のビジネスモデル』です。
馬渕 なるほど。
保証率に関しては短期で大きく変動しないことから、保証残高をいかに積み上げていけるかが、売上高成長の鍵を握ることになるわけですね。
江藤 そうです。
つまり、経済が活性化することで売掛債権のボリュームが増えるため、景気が良くても弊社は事業が拡大していきます。
馬渕 一方で、コロナのような危機に直面すると「保証」に注目があつまるわけですよね。
そして、一度、利用すると解約しないのが保証。
つまり、景気が良くても悪くても成長する所以がここにあるのですね。
江藤 おっしゃる通りで、イー・ギャランティの保証サービスの契約更新率は90%と解約率が非常に低い点が特徴です。
利用してみたら、思いのほか便利だったので、継続する企業がほとんどです。
つまり、利用企業にとって、これまで時間とコストをかけていた審査業務を、まるごと弊社に任せた方が効率的だというこということなのでしょう。
馬渕 企業にとって大事なことは本業を伸ばすこと。
審査やファクタリングなどの専門的な部分を御社に任せていくことで、企業自体の本業の成長につながりますね。
◆営業ノウハウのブラックボックス「見える化」で稼ぐ力を向上
馬渕 売上高を見てみると19年55億円でしたが22年には78億円まで拡大し、さらに23年見通しは88億円と成長の一途をたどっています。
江藤 売上を拡大させながら利益率も高めてきました。
10年前の2012年の営業利益率は24.6%でしたが、2022年の同利益率は47.2%です。
ここまで、いかに業務の効率化を進めながら事業を拡大してきたかをお分かりいただけるでしょう。
馬渕 なぜ、利益率を高めることができたのでしょうか。
江藤 直近の取り組みは「集中的な研修の実施」です。
馬渕 どんな研修をされているのでしょうか。
それが、利益率に関係するのですか。
江藤 売掛債権の保証の営業人材のスキルは専門性が高いため、ある意味、熟練の技術のようになりがちです。
馬渕 匠の技術。
一子相伝みないな・・・・。
江藤 営業担当者ごとのやり方があり、ブラックボックス化していました。
これでは、若手が育ちません。
私たちのサービスは全国各地に営業人材を豊富に置くことも、成長のカギになります。
つまり、中堅の営業人材と同じように即戦力に短期間で育つ仕組みが必要です。
馬渕 営業体制の強化で若手の成約率はあがりましたか。
江藤 営業の際の、説明の仕方など丁寧に研修で教えることで、今では、1年半では戦力化できるようになりました。
つまり、若手の契約率が上がっています。
このように、人材の質を全体的に上げることと、ブラックボックス化していた部分を見える化できたことで、経営の管理の効率化にもつながっています。
今期は、前期に比べて営業人材を30%増で採用しています。
まさに、即戦力の人材をいま、獲得しています。
◆15年以上継続配当
馬渕 株主還元である配当は利益を出せてこそ、ですね。
江藤 2007年に上場して以来、ずっと配当を継続しています。
2023年3月期の年間配当金26円の予定です。
馬渕 素晴らしいですね。
江藤 弊社は年間30万件の企業の審査依頼、累計14万超えの信用保証をし、260万社を超える信用情報データを持ちます。
今後は、蓄積されたデータを生かして、データビジネスも拡大させていきます。
企業間取引における、データ収集の強化を継続することで、請求書発行・決済サービス債権買取サービス少額債権保証サービスなど周辺領域に事業を拡大させ、より、売上・利益ともに成長させていきます。
馬渕 ありがとうございました。
————
江藤公則
イー・ギャランティ代表取締役社長
1998年、伊藤忠商事に入社。
入社2年目に社内ベンチャー制度を活用し、金融債権の保証ビジネスを立ち上げる。
2000年にイー・ギャランティを設立。
2007年にジャスダック市場に上場し、ジャスダック上場企業の社長としては最年少記録(当時)を打ち立てた。
2011年には東証2部、翌2012年には東証1部への鞍替え上場を果たしたほか、信用リスクに関するファンドの組成、ベンチャー出資を保証するサービスの販売、新型コロナウイルスの感染拡大にあわせた商品開発をするなど順調に業容を拡大させている。
馬渕磨理子
一般社団法人 日本金融経済研究所 代表理事/経済アナリスト
京都大学公共政策大学院 修士課程を修了。
トレーダーとして法人の資産運用を担う。
その後、金融メディアのシニアアナリスト、コメンテーター、連載を通してメディア活動を行う。
フジテレビ「LiveNEWSα」、読売テレビ「そこまで言って委員会NP」「ウェークアップ」など出演。
プレジデント、ダイヤモンド、日経クロストレンド、Forbes JAPAN、SPA!、週刊ポストなど多数掲載。
投資家と企業とのコミュニケーション(IR)の課題に直面し、シンクタンクを設立活動。
・フジテレビ「LiveNEWSα」レギュラー出演中
・東京FM「馬渕・渡辺の#ビジトピ」冠番組
・書籍『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』(ダイヤモンド社)、『京大院卒経済アナリストが開発! 収入10倍アップ高速勉強法』(PHP研究所)
<SI>
売掛金が回収できなくなるリスクを回避したい企業の需要をつかみ、コロナ禍においても高成長を続けています。
15年間連続配当の優良企業。
アフターコロナにおける同社の成長見通しはいかに、江藤公則(えとうまさのり)社長にお話を伺います。
◆アフターコロナ、むしろ債権保証は拡大傾向
馬渕 コロナで売掛債権の保証を手掛ける御社に注目が集まり、3年間で株価2倍以上になりましたね。
江藤 世の中を支え、経済を回すためにも売掛債権の保証が必要だということです。
馬渕 危機に直面したことで、御社のビジネスに注目が集まったと思いますが。
経済が再開に向かうなかで業績はさらに成長するのでしょうか?
江藤 売掛債権の保証のビジネスモデルを危機の時にこそ必要だと考える人が多いようですが、それは間違っています。
むしろ経済が再開し“商売が活気づく”ほうが弊社の事業は拡大します。
馬渕 といいますと。
江藤 経済のパイが拡大すれば、売掛債権は増えますよね。
イー・ギャランティの売上高は「保証残高×保証率」で決まる『ストック型のビジネスモデル』です。
馬渕 なるほど。
保証率に関しては短期で大きく変動しないことから、保証残高をいかに積み上げていけるかが、売上高成長の鍵を握ることになるわけですね。
江藤 そうです。
つまり、経済が活性化することで売掛債権のボリュームが増えるため、景気が良くても弊社は事業が拡大していきます。
馬渕 一方で、コロナのような危機に直面すると「保証」に注目があつまるわけですよね。
そして、一度、利用すると解約しないのが保証。
つまり、景気が良くても悪くても成長する所以がここにあるのですね。
江藤 おっしゃる通りで、イー・ギャランティの保証サービスの契約更新率は90%と解約率が非常に低い点が特徴です。
利用してみたら、思いのほか便利だったので、継続する企業がほとんどです。
つまり、利用企業にとって、これまで時間とコストをかけていた審査業務を、まるごと弊社に任せた方が効率的だというこということなのでしょう。
馬渕 企業にとって大事なことは本業を伸ばすこと。
審査やファクタリングなどの専門的な部分を御社に任せていくことで、企業自体の本業の成長につながりますね。
◆営業ノウハウのブラックボックス「見える化」で稼ぐ力を向上
馬渕 売上高を見てみると19年55億円でしたが22年には78億円まで拡大し、さらに23年見通しは88億円と成長の一途をたどっています。
江藤 売上を拡大させながら利益率も高めてきました。
10年前の2012年の営業利益率は24.6%でしたが、2022年の同利益率は47.2%です。
ここまで、いかに業務の効率化を進めながら事業を拡大してきたかをお分かりいただけるでしょう。
馬渕 なぜ、利益率を高めることができたのでしょうか。
江藤 直近の取り組みは「集中的な研修の実施」です。
馬渕 どんな研修をされているのでしょうか。
それが、利益率に関係するのですか。
江藤 売掛債権の保証の営業人材のスキルは専門性が高いため、ある意味、熟練の技術のようになりがちです。
馬渕 匠の技術。
一子相伝みないな・・・・。
江藤 営業担当者ごとのやり方があり、ブラックボックス化していました。
これでは、若手が育ちません。
私たちのサービスは全国各地に営業人材を豊富に置くことも、成長のカギになります。
つまり、中堅の営業人材と同じように即戦力に短期間で育つ仕組みが必要です。
馬渕 営業体制の強化で若手の成約率はあがりましたか。
江藤 営業の際の、説明の仕方など丁寧に研修で教えることで、今では、1年半では戦力化できるようになりました。
つまり、若手の契約率が上がっています。
このように、人材の質を全体的に上げることと、ブラックボックス化していた部分を見える化できたことで、経営の管理の効率化にもつながっています。
今期は、前期に比べて営業人材を30%増で採用しています。
まさに、即戦力の人材をいま、獲得しています。
◆15年以上継続配当
馬渕 株主還元である配当は利益を出せてこそ、ですね。
江藤 2007年に上場して以来、ずっと配当を継続しています。
2023年3月期の年間配当金26円の予定です。
馬渕 素晴らしいですね。
江藤 弊社は年間30万件の企業の審査依頼、累計14万超えの信用保証をし、260万社を超える信用情報データを持ちます。
今後は、蓄積されたデータを生かして、データビジネスも拡大させていきます。
企業間取引における、データ収集の強化を継続することで、請求書発行・決済サービス債権買取サービス少額債権保証サービスなど周辺領域に事業を拡大させ、より、売上・利益ともに成長させていきます。
馬渕 ありがとうございました。
————
江藤公則
イー・ギャランティ代表取締役社長
1998年、伊藤忠商事に入社。
入社2年目に社内ベンチャー制度を活用し、金融債権の保証ビジネスを立ち上げる。
2000年にイー・ギャランティを設立。
2007年にジャスダック市場に上場し、ジャスダック上場企業の社長としては最年少記録(当時)を打ち立てた。
2011年には東証2部、翌2012年には東証1部への鞍替え上場を果たしたほか、信用リスクに関するファンドの組成、ベンチャー出資を保証するサービスの販売、新型コロナウイルスの感染拡大にあわせた商品開発をするなど順調に業容を拡大させている。
馬渕磨理子
一般社団法人 日本金融経済研究所 代表理事/経済アナリスト
京都大学公共政策大学院 修士課程を修了。
トレーダーとして法人の資産運用を担う。
その後、金融メディアのシニアアナリスト、コメンテーター、連載を通してメディア活動を行う。
フジテレビ「LiveNEWSα」、読売テレビ「そこまで言って委員会NP」「ウェークアップ」など出演。
プレジデント、ダイヤモンド、日経クロストレンド、Forbes JAPAN、SPA!、週刊ポストなど多数掲載。
投資家と企業とのコミュニケーション(IR)の課題に直面し、シンクタンクを設立活動。
・フジテレビ「LiveNEWSα」レギュラー出演中
・東京FM「馬渕・渡辺の#ビジトピ」冠番組
・書籍『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』(ダイヤモンド社)、『京大院卒経済アナリストが開発! 収入10倍アップ高速勉強法』(PHP研究所)
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