[4日 ロイター] - ニューヨーク連銀エコノミストで「社債市場ディストレス指数(CMDI)」を開発したニーナ・ボヤルシェンコ氏はロイターに対し、「米社債市場の流動性逼迫を懸念する多くの議論があるが、実際の価格への影響や売値と買値のスプレッドからは過去の局面に比べ異常な状況は見て取れない」と語り、新発社債のコストが上がっている可能性はあっても流動性の行き詰まりは起きていないとの見解を示した。
同指数は2005年にさかのぼってデータを分析。米投資適格債では10月21日時点で2年ぶりの高水準の0.52に上昇したが、2020年の市場のコロナ危機で米連邦準備理事会(FRB)が米社債市場に流動性支援を発表した際の0.65に比べれば、まだ13ポイント低い。高利回り債では20年当時の0.60に対し、今回は0.24にとどまる。
ICE BofAグローバルデータが示す社債利回りは、11月3日に高利回り債で9%と昨年末の4.35%から大きく上昇。新発債の借り入れコストが上がったことで、新発の起債ペースは落ちている。
しかし、ボヤルシェンコ氏は「市場機能という点からは逼迫の兆候は全くない」とし、20年から21年にかけての社債発行ブーム時に企業が長めの期間で発行していたことも幸いしていると指摘した。