[ニューヨーク 27日 ロイター] - 地銀2行が経営破綻し、小規模行で記録的な預金流出が起きた後、米銀行業界の関心は目先の危機から経済成長の鈍化という中期的な懸念へと移りつつある。
米連邦準備理事会(FRB)が24日発表したデータによると、シリコンバレー銀行が経営破綻した10日以降、国内小規模行の預金は1190億ドル減と過去最大の落ち込みを記録した。
ゴールドマン・サックスのアナリストチームは国内総生産(GDP)に触れたメモで、「米銀行システムのストレスが信用の伸びを鈍らせ、GDPの実質的成長率を押し下げる」と予想。首席エコノミストのジャン・ハッチウス氏は、顧客の預金保護に対する政府の姿勢が明確でないため、金融市場は依然として不安定な状態だと指摘した。
アポロ・グローバル・マネジメントの首席エコノミストのトーステン・スロク氏はノートで、顧客が資金を当座預金口座から政府の預金保険の付いた口座であるマネーマーケット預金口座に移動させており、消費支出は減少するだろうとの見通しを示した。
米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は26日のCBSの番組で、最近の銀行セクターへのストレスとそれによって起こり得る信用収縮が、米経済を景気後退(リセッション)に近づけると警告した。
一方、バークレイズのアナリストは先週のノートに、金融環境の引き締まりは経済活動にとって大きな圧力になるが、「本格的な信用危機」が起きない限り破滅的な状況にはならないと書いた。
バンク・オブ・アメリカのアナリストはノートで「銀行システムへのストレスは引き続き強いが、安定の兆しもいくらかうかがえる。銀行向け緊急流動性供給の伸びは鈍化しているようだ」と分析した。