[キーウ 29日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は29日、ウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所を視察した。原発周辺に安全地帯を設置する計画を脇に置き、ロシアとウクライナの双方にとって受け入れ可能な具体的な安全措置を提案する意向を示した。
ザポロジエ原発がロシア軍に占領されて以来、グロッシ氏が同原発を視察するのは2度目。同氏はロシアの記者団に、原発の状況は改善していないと述べた。ロイターが発言の録音データを入手した。
安全措置の詳細には触れなかった。ロシアは2月に、ザポロジエの放射性物質保管施設など主要部分を保護する構造物を近く完成するとの見通しを示していた。
グロッシ氏は「攻撃がないよう図ることが重要だ。全ての当事者が受け入れ可能な、現実的で実現可能性がある提案を示すために取り組んでいる」と語った。
また、「この地域で軍事活動が活発化しているのは明白だ。これでは原発を守ることができない」と懸念を示した。
グロッシ氏は28日、解決策を見いだすための取り組みを進めているとロイターに述べていた。「何も断念していない。むしろ取り組みを強化し、継続する必要がある」と強調した。
ザポロジエ原発は昨年9月に6基の原子炉のうち稼働中だった1基が停止して以来、発電を行っていない。原発事故の懸念が強まった9月にグロッシ氏が視察して以降、IAEAの監視要員が滞在している。