Maha El Dahan Yousef Saba
[ドバイ 31日 ロイター] - サウジアラビアによる石油生産能力の拡張停止は少なくとも半年前から検討されていたと業界関係者が明らかにした。政府は現在の余剰生産能力が危機時の供給に十分で、新規油田への投資は経済的に意味がないと結論付けたという。
国有石油会社サウジアラムコは30日、持続可能な最大石油生産能力を日量1300万バレルから1200万バレルに引き下げるようエネルギー省から指示されたと明らかにした。
同国の現在の産油量は日量約900万バレル。業界筋によると、政府は300万バレル前後の生産余力の大部分が収益化されていないと評価した。
別の関係者は「2024、25年は価格管理が優先課題だろう」と述べた。同時に、今回の措置は能力拡張の「延期で、いずれ再開される可能性が高い」とし、「長期需要見通しに影響はない」と語った。
両関係者とも決定は上層部が下したと述べた。
HSBCは、石油輸出国機構(OPEC)非加盟国の供給増や世界の需要減速でOPEC産油量が中期的に減少する見通しのため、サウジが生産を引き上げる余地はほぼないと指摘。アラムコが今後2─3年間、日量1000万バレル以上生産する余地はほとんどないと試算し、今回の決定はこうしたトレンドを踏まえた可能性があるとした。