■決算動向
1. 2023年3月期第2四半期累計決算の実績
2022年10月31日に公表したプロネクサス (TYO:7893)の2023年3月期第2四半期累計決算は、売上収益が前期比4.0%増の16,018百万円、営業利益は同6.3%減の2,698百万円、税引前利益で同6.8%減の2,756百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益で同8.3%減の1,864百万円と増収減益となった。
なお、売上収益に関しては、第2四半期ベースでは過去最高の数値となっている。
同社の収益構造は、メインとなるビジネスのターゲットが、企業ディスクロージャーとなるため、国内企業の多くが導入している3月決算が主戦場だ。
そして、3月期決算企業の株主総会・決算関連の受注が集中する第1四半期が通期売上収益の約4割を占める状況だ。
そうした意味で、上期の業績動向は実態を探るうえで重要になる。
さらに、安定した受注が見込める定期製品と市況に左右される非定期製品の売り上げ構成の割合は6:4となっており、業績のトレンドを把握するには、安定製品である決算や株主総会に絡んだビジネスに関して、新規開拓と既存顧客の案件拡充をいかに図るかがポイントになろう。
上期について事業別に見ると、稼ぎ頭である上場会社ディスクロージャー関連が、引き続き好調に推移した。
株主総会招集通知のカラー化の進展、招集通知の電子提供制度に対応するための定款変更に伴うページ数の増加などにより受注・単価とも増となっている。
また、働き方改革による根強い業務効率化ニーズに伴い開示書類作成アウトソーシングサービスが増加し、同事業の売上収益は、前年同期比5.9%増の7,640百万円となった。
上場会社IR関連等は、Webサービス、英文IRツールなどが好調に推移している。
とりわけ、2022年4月の東京証券取引所(以下、東証)の市場再編による効果が大きい。
プライム市場の創設により、同市場に上場する企業は海外投資家向けディスクロージャー拡充が必須となるため、コーポレートガバナンス・コード適用によるビジネスが広がっている。
さらに、株主総会のビジュアル化サービスのニーズにより、バーチャル株主総会支援サービスに引き合いが活発化しているという。
同事業は、前年同期比8.4%増の4,423百万円と伸長した。
他方、前年同期に続いて金融商品ディスクロージャー関連は苦戦した。
もともと金融市場の動向に左右されやすく、市況製品的な性格が強い部門だが、昨今のドル高/円安の影響を受けたという。
J-REIT・外国債券関連製品の受注が減少したほか、国内投資信託市場も一部ファンドの新規設定が減速傾向にあることで、目論見書、金融機関向けの各種販促ツールが減収した。
J-REITのIPOも従前に比べて減少したことで、厳しい環境にあったと言えよう。
同関連の売上収益は、同比3.5%減の3,440百万円となった。
また、データベース部門も、単価下落もあって同3.8%減の514百万円となった。
同社は、従来型の開示業務に留まらず、システムサービスの拡張やIR支援の提案などビジネスの幅を広げることで1社当たりの受注単価をアップさせるべく展開しているが、一方では、同業他社との競争激化の影響を受けており、バッティングしない付加価値の高い分野に注力することが今後のポイントになる。
さらに、イベントのWeb化など、時代のニーズの変化に対応した取り組みを加速させることが重要になりそうだ。
利益面では、外注費及び体制強化に伴う労務費・人件費が増加。
開示書類作成支援システムのバージョンアップ費用も負担増となり、収益を圧迫している。
さらに、昨今の物価上昇は、同社の収益にも影響を及ぼした。
印刷用紙代値上げによるコスト増加も加わり、営業減益を余儀なくされた。
2. 2023年3月期の業績予想
2023年3月期の業績予想は、前期比3.3%増の27,000百万円、営業利益が同4.7%増の2,600百万円、税引前利益は同0.9%減の2,600百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同2.1%増の1,800百万円を見込んでいる。
現段階において大きな受注動向の変動は見込んでいないほか、一層のコスト抑制を図る意向であることから、期初予想を据え置いた。
製品区分別では、上場会社ディスクロージャー関連で、株主総会招集通知・システムサービス・アウトソーシングサービスの受注増が見込まれるものの、競合激化による受注価格の低下、IPO・ファイナンスの小型化による影響も受けるという。
また、2023年3月からは招集通知電子提供制度開始に伴う印刷物のページ数減少も見込まれる。
一方、上場会社IR関連等ではWebサービス、株主総会関連サービス、英文翻訳サービスの受注増が見込まれるが、金融商品ディスクロージャー関連ではJ-REIT関連製品、外国債券関連製品の伸び悩みが懸念されそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
1. 2023年3月期第2四半期累計決算の実績
2022年10月31日に公表したプロネクサス (TYO:7893)の2023年3月期第2四半期累計決算は、売上収益が前期比4.0%増の16,018百万円、営業利益は同6.3%減の2,698百万円、税引前利益で同6.8%減の2,756百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益で同8.3%減の1,864百万円と増収減益となった。
なお、売上収益に関しては、第2四半期ベースでは過去最高の数値となっている。
同社の収益構造は、メインとなるビジネスのターゲットが、企業ディスクロージャーとなるため、国内企業の多くが導入している3月決算が主戦場だ。
そして、3月期決算企業の株主総会・決算関連の受注が集中する第1四半期が通期売上収益の約4割を占める状況だ。
そうした意味で、上期の業績動向は実態を探るうえで重要になる。
さらに、安定した受注が見込める定期製品と市況に左右される非定期製品の売り上げ構成の割合は6:4となっており、業績のトレンドを把握するには、安定製品である決算や株主総会に絡んだビジネスに関して、新規開拓と既存顧客の案件拡充をいかに図るかがポイントになろう。
上期について事業別に見ると、稼ぎ頭である上場会社ディスクロージャー関連が、引き続き好調に推移した。
株主総会招集通知のカラー化の進展、招集通知の電子提供制度に対応するための定款変更に伴うページ数の増加などにより受注・単価とも増となっている。
また、働き方改革による根強い業務効率化ニーズに伴い開示書類作成アウトソーシングサービスが増加し、同事業の売上収益は、前年同期比5.9%増の7,640百万円となった。
上場会社IR関連等は、Webサービス、英文IRツールなどが好調に推移している。
とりわけ、2022年4月の東京証券取引所(以下、東証)の市場再編による効果が大きい。
プライム市場の創設により、同市場に上場する企業は海外投資家向けディスクロージャー拡充が必須となるため、コーポレートガバナンス・コード適用によるビジネスが広がっている。
さらに、株主総会のビジュアル化サービスのニーズにより、バーチャル株主総会支援サービスに引き合いが活発化しているという。
同事業は、前年同期比8.4%増の4,423百万円と伸長した。
他方、前年同期に続いて金融商品ディスクロージャー関連は苦戦した。
もともと金融市場の動向に左右されやすく、市況製品的な性格が強い部門だが、昨今のドル高/円安の影響を受けたという。
J-REIT・外国債券関連製品の受注が減少したほか、国内投資信託市場も一部ファンドの新規設定が減速傾向にあることで、目論見書、金融機関向けの各種販促ツールが減収した。
J-REITのIPOも従前に比べて減少したことで、厳しい環境にあったと言えよう。
同関連の売上収益は、同比3.5%減の3,440百万円となった。
また、データベース部門も、単価下落もあって同3.8%減の514百万円となった。
同社は、従来型の開示業務に留まらず、システムサービスの拡張やIR支援の提案などビジネスの幅を広げることで1社当たりの受注単価をアップさせるべく展開しているが、一方では、同業他社との競争激化の影響を受けており、バッティングしない付加価値の高い分野に注力することが今後のポイントになる。
さらに、イベントのWeb化など、時代のニーズの変化に対応した取り組みを加速させることが重要になりそうだ。
利益面では、外注費及び体制強化に伴う労務費・人件費が増加。
開示書類作成支援システムのバージョンアップ費用も負担増となり、収益を圧迫している。
さらに、昨今の物価上昇は、同社の収益にも影響を及ぼした。
印刷用紙代値上げによるコスト増加も加わり、営業減益を余儀なくされた。
2. 2023年3月期の業績予想
2023年3月期の業績予想は、前期比3.3%増の27,000百万円、営業利益が同4.7%増の2,600百万円、税引前利益は同0.9%減の2,600百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同2.1%増の1,800百万円を見込んでいる。
現段階において大きな受注動向の変動は見込んでいないほか、一層のコスト抑制を図る意向であることから、期初予想を据え置いた。
製品区分別では、上場会社ディスクロージャー関連で、株主総会招集通知・システムサービス・アウトソーシングサービスの受注増が見込まれるものの、競合激化による受注価格の低下、IPO・ファイナンスの小型化による影響も受けるという。
また、2023年3月からは招集通知電子提供制度開始に伴う印刷物のページ数減少も見込まれる。
一方、上場会社IR関連等ではWebサービス、株主総会関連サービス、英文翻訳サービスの受注増が見込まれるが、金融商品ディスクロージャー関連ではJ-REIT関連製品、外国債券関連製品の伸び悩みが懸念されそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)