■主なトピックス1. 出退店等の状況グループ全体の新規出店数は89店舗となったが、M&Aを除くと60店舗にとどまり、2期連続で新規出店ペースを抑え気味とする政策が反映されている。
また、不振店や契約満了等による撤退については29店舗を実施するとともに、既存店の業績改善を目的とした業態変更(37店舗)や改装(18店舗)にも積極的に取り組んだ。
特に、SFPカテゴリーにおいては、実験的な意図を含めて、「磯丸水産」から「鳥良商店」への業態変更等を26店舗で実施。
その結果、業績改善効果は全体として想定を下回ったものの、見込み違いのあった部分を含め、ここで得られた経験則は今後の成長戦略を推進するうえで重要なノウハウになるものと考えられる。
2. IFRSの適用クリエイト・レストランツ・ホールディングス (T:3387)は、2019年2月期通期業績からIFRS(国際財務報告基準)基準へと移行した。
国内外のM&A推進に向けた基盤整備、資本市場における国際的な比較可能性の向上、並びにグループ内の会計基準統一による経営管理の最適化が導入の目的である。
IFRS適用に伴う減損損失基準の厳格化により、前期決算においては減損損失が一時的に増加したものの、見方を変えれば、減損処理を一気に進めたことで、より健全な財務体質になったという評価もできる。
また、減価償却方法の変更(定率法から定額法への変更)やのれんの定期償却の非計上など、これまでの国内基準との違いについて注意が必要である。
3. M&A等の実績今後の成長戦略の軸であるM&Aについては4件を成約するに至った。
2018年12月に実行した(株)遊鶴(YZ)については、北海道でメジャーなごまそばを提供する、ごまそば「遊鶴」10店舗(売上規模約9.6億円)を展開。
また、同じく2018年12月には、ニューヨーク現地法人CRNYが、ニューヨークの日本食レストラン「炙り屋錦乃介」及び「蕎麦鳥人」の2店舗(売上規模約6.8億円)を譲り受けた。
さらに今期に入ってからも、2019年3月には、銀座にて、そば・うどんの老舗「銀座木屋」など7店舗(売上規模約7.8億円)を展開する木屋フーズ(株)(KF)を連結化するとともに、子会社SFPが、熊本にて主に居酒屋など19店舗(売上規模14.8億円)を展開する(株)ジョー・スマイル(JS)をM&Aしている。
4. SFPの東証1部への市場変更2019年2月28日には、上場子会社のSFPホールディングス(株)が東京証券取引所市場第2部から第1部へ指定替えとなった。
SFP(SFPカテゴリー)は、人気業態「磯丸水産」などにより、同社グループの重要な成長エンジンを担っており、今後もM&Aの活用による地方都市への出店拡大を目指す方向性を打ち出している。
したがって、SFP自体の成長戦略を推進し、その結果として同社グループ全体の企業価値を高めるうえでも、資本市場でのプレゼンス向上は重要な意味があるものと評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)