[6日 ロイター] - 米ツイッターはイーロン・マスク新最高経営責任者(CEO)の下、従業員の大量解雇に着手した。同社は4日、解雇の通知を開始。ロイターが先週確認した内部計画によると、従業員の約半数に当たる最大3700人を解雇する見通しだ。
ツイッターは既に、事前の通知もしくは解雇手当て無しの解雇であれば米国とカリフォルニア州の法律に違反する、と訴える集団訴訟に直面している。
◎法律の規定
米連邦労働者調整・再訓練予告法(WARN法)では、従業員100人以上の企業が大量解雇を行う際、60日前の通知を義務付けている。
大量解雇の定義は、30日間に少なくとも500人の解雇であり、全従業員の3分の1以上を解雇する場合には少なくとも50人の解雇となっている。雇用主は事前通知の代わりに60日分の解雇手当てを支払うこともできる。
◎WARN法に違反した場合
WARN法に違反した雇用主は、解雇した従業員に60日分の未払い賃金を払うよう命じられる。罰金として違反1日当たり500ドルの支払いも科される。カリフォルニアその他の州の類似法も、同様の罰金を定めている。
◎ツイッターに対する訴えの内容
サンフランシスコ連邦地裁に3日提出された訴状では、ツイッターは同日付で従業員をアカウントから締め出すことで、すぐに解雇することを示唆した。原告5人に名を連ねた1人は、事前通知も解雇手当ても無いまま1日に解雇されたと述べている。
ツイッターは、ロイターのコメント要請に回答しなかった。マスク氏は4日に「退職する人は全員、3カ月間の解雇手当てを提示された。これは法律で定められたよりも50%多い」とツイートした。
カリフォルニア州当局がロイターの求めに応じて示したWARN法の届け出書類によると、ツイッターは4日、サンタモニカ事務所で93人、サンノゼで106人、サンフランシスコで784人を、それぞれ解雇すると通知。いずれも来年1月4日から解雇が始まる見通しだとしている。
サンフランシスコの内訳をみると、784人のうち大半の592人は専門職に分類され、うち147人は上・中級の職員とマネジャー、残りはシニアマネジャー、営業担当者、管理業務補助職となっている。サンタモニカとサンノゼの内訳もこれと類似している。
原告側の弁護士、シャノン・リスリオーダン氏は4日、ツイッターは一部従業員に対して1月4日までの給与支払い継続を提示することで、WARN法順守の努力をしているようだと述べた。
同氏によると、ツイッターは従業員に対し、支払いと引き換えにツイッターを提訴する権利を放棄するよう義務付ける退職合意書を来週提示すると告げた。
リスリオーダン氏は「ツイッターが解雇する従業員をどのように選んだか、差別や報復が絡んでいないか」についても調べていると述べた。
◎WARN法違反で訴えられたマスク氏の経営企業は他にもあるか
電気自動車大手のテスラは6月、WARN法違反容疑でテキサス州連邦地裁に提訴された。同社は全米で突然従業員を大量解雇していた。リスリオーダン氏は、この案件でも従業員側の弁護士を務めている。
連邦地裁判事は先月、テスラ従業員に対し、裁判所ではなく非公開の仲裁で訴えを追求するよう求めた。米民間企業労働者の半分以上は、雇用関連の法的対立を仲裁で解決することに合意する文書に署名しているため、ツイッター訴訟でも同様の問題が持ち上がるかもしれない。
◎WARN法訴訟は増えているか
新型コロナウイルスのパンデミック中、多くの企業は突然休業したり従業員を大量解雇したりしたため、WARN法や州の法律に基づく提訴は急増した。
レンタカー大手・ハーツやレストランチェーンのフーターズなどは、パンデミック関連の解雇で提訴され、和解に達した。